『 模倣防止は、発明の本質の把握から 』 その2


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 『 模倣防止は、発明の本質の把握から 』 その2
 2008.7.15. 75号 非まじめ発創塾 坂井 徳栄
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 【特許の模倣を防げない落し穴】の非まじめ塾:坂井です。
 今日も『非まじめ・メルマガ』をお読みいただき有り難うございます。

 

■ 本日の【非まじめメルマガ】
  ◆【非まじめ人コーナー】
  ◆【読者様の声】
  ◆【非まじめ発創】
  ◆【あとがき】

 

 早速、【非まじめメルマガ】を始めましょう。


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  ◆【非まじめ人コーナー】

 越後は、気象台の発表によると6月19日に梅雨入りしたのですが、
今頃になってようやく梅雨らしい雨が降り出しました。

 これで低気圧が停滞したら4年前の平成16年7月13日のように
五十嵐川が氾濫することにもなりかねません。

 幸い、河川の改修工事も大づめにかかっており、トックリ型(ヒョウタン
型)の五十嵐川の信濃川への合流点も拡張されましたから前回の
ような堤防の決壊にはつながらないとは思いますが、自然界の
破壊力は計り知れず、人知で防ぎきれません。

 

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  ◆【読者様の声】

 今回の『読者様の声』は、チョッと趣向を変えて、最近ご支援させて
いただいたお二方の弁理士の状況報告をして見ましょう。

 もちろん、守秘義務がありますからお二方のお名前も、出願内容も
書くわけに参りませんが、・・・・・!

 お二方は、AさんとBさんで、それぞれの弁理士は、A2氏とB2氏。

 A2氏もB2氏も素晴しい方で、ウ〜ン、ここまで書きこんでくれたん
だ、と感心するほど立派な明細書でしたが〜〜〜!

 

 まず、Aさんは、アイデアがまとまった段階で相談を受けました。

 当然私は、このアイデアを元に徹底的に質問を繰り返し、出願すべき
内容を煮詰めた上で、弁理士に依頼する内容についてこと細かく書いた
提案書を渡しました。

 Aさんは、この提案書を熟読の上、N弁理士に相談されたのですが、
このN弁理士の応答に物足りなさを感じ、A2氏に相談された結果、
このA2氏から特許出願されたのです。

 普通弁理士は、出願人から説明された内容の範囲内でのみ明細書を
書きます。


 ところが、最近、AさんからA2氏の書かれた明細書のチェックを依頼
されて驚いたのですが、Aさんから受けた説明はもちろん書きこまれ、
さらに、Aさんにも、私にも分らなかった専門技術を駆使して、新たな
提案まで書き込んだ素晴しい明細書でした。

 こうなったら私も心を鬼にして、この出願を合法的に逃れるとしたら
どこを攻めるか、と言う模倣者の心で『アラ探し』してみました。

 模倣者の心で『アラ探し』してみたものの、重箱のスミをつつくような
ささいなアラしか発見できませんでした。

 

 一方、Bさんは、弁理士B2氏に依頼して出てきた明細書を
ご自分でチェックして出願した明細書を持って、私に相談されました。

 このB2氏の書かれた明細書も、Bさんのアイデアを技術的に分析し、
なるほどなぁ〜と、感心するような実に素晴しい明細書です。

 しかしながら、Bさんから説明されたアイデアを上位概念でまとめた
だけ、と言う明細書です。

 残念ながら、Bさんアイデアの枠を取り払い、一歩進んだ明細書には
なっておりませんでした。

 『アイデアの枠を取り払い、一歩進んだ明細書』を弁理士に求める
のは、『筋違い』なのですから止むを得ないことです。


 犬飼弁理士が言われる『自分の発明は、自分で守れ』ということは、
この『アイデアの枠を取り払う』コトから始まるのです。

 いよいよ、私の出番です。

 今、Bさんのアイデアの枠を徹底的に取り払う作業に没頭しています
が、Bさんは、先に私に相談してからB2弁理士に出願依頼すれば、
特許出願が、1回ですみました。

 でも、出願から1年以内に『優先権主張して再出願』すれば、
   『特許の落とし穴』にはまることは、ありません
から大丈夫です。

 

 AさんとBさんの順序の違いから起きるもう一つのメリットがあります。

 そのメリットとは、まず、特許庁のホームページを開けてください。
 メーンページの1段目の右側に、『無料で先行技術が調査できる』と
書いてありますから、ここをクリックすると『中小企業等特許先行技術
支援事業』へ飛びます。

 特許出願が終わったら、速やかにこの『中小企業等特許先行技術
支援事業』を申し込んでください。

 2〜3ヶ月すると、『査結果報告』がきますからこの報告書をよく読んで
出願済みのアイデアを更に練りこめば、特許権が取れる内容のアイデアになるでしょう。

 この新しいアイデアを『優先権主張して再出願』することができます。

 たとえ、『査結果報告』の内容が、芳しくなくとも、心配要りません。
 その『査結果報告』を利用して新たなアイデアを生み出せば良いのです!


 ご注意願いたいのは、『優先権主張期間』は、
 【最初に出願した日から1年以内】であり、1日でも過ぎると使えません。

 でも、1年以内なら2度でも3度でも使えますよ!


 特許庁のホームページ ⇒ http://www.jpo.go.jp/indexj.htm

 

 それにしても気になるのは、A1、B1両弁理士の書き方の違いが、
どこから来ているのでしょうか?

 もしかすると、この違いの秘密が分ると、私の『非まじめ発創』が
   新しい段階に進むのかもしれません!

 両弁理士の違いの秘密は、何なのでしょうか?
 考えてみたいと思います!(答えを見つけられたらいいなぁ〜!)


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  ◆【非まじめ発創】


 さて、前回は、
 いろいろ書いているうちに、予定の紙数が尽きてしまいました。
 続きは、次回と言うことにします、で終わりました。

 と言うことで、今回はその続き
   『 模倣防止は、発明の本質の把握から 』 その2

 今回のメルマガは、メルマガ47号、48号でお伝えした
 ここまで書いても良いのか、と思えるほどの内容を書きましたから
ゼヒ、最後までお読みくださいね。

前回の続きで、『ハート型バケツ』を題材にしています。
 2007.10.30.  47 『【ハート型バケツ】は、権利になるか?』 その1
 2007.11.06. 48 『【ハート型バケツ】は、権利になるか?』 その2

 できましたら特許電子図書館で検索して、図を見ながらお読みください。
   ⇒ http://www.ipdl.inpit.go.jp/homepg.ipdl

 

 前回の【非まじめ・メルマガ】は、
  従来の円形の容器(バケツ)では、『外周にモモが当り』大変運び
  つらかったのですが、この『ハート型容器(バケツ)』は、『凹部に
  モモがはまる』からこそ、考案の効果が発揮できるのです。

  と言うことで、この考案のポイントすなわち一番重要な点なわけですね。


 ここで前回は終わりましたので、この続きを書きましょう。

 

 出願人は、『バケツの考案』をしているにもかかわらず、私が
   ナゼ『容器』にこだわっているのでしょうか?

 『バケツ』より『容器』のほうが広い概念すなわち上位概念だということ
です。

 『バケツ』は『容器』の一つの形ですから『容器』で権利が取れれば、
当然『バケツ』も権利が及びます。

 同じ権利を取るなら、より広い権利を取りたいものですね。

 

 ただし、それなりのリスクが伴うことも承知しておいてください。

 この『リスク』について説明しましょう。

 この『ハート型バケツ』は、実開昭62‐037248号ですが、当時の
実用新案には『審査請求』がありました(現在の実用新案にはありま
せん)し、特許には当然『審査請求』がありますから、出願して
『審査』を受けないと権利が取れません。

 この『審査請求』時に審査官が特許調査するわけですが、このときの
   特許調査の範囲が出願内容にあわせて行われるわけです。

 と言うことで、『ハート型バケツ』として出願すれば、先願の中の
『バケツ』『バケット』などが調査対象になります。

 しかし、『容器』として出願すれば、『あらゆる容器』が調査対象に
入ってきますから『拒絶理由となる引用例』が発見されやすいことに
なり、それだけ権利化に苦労することになります。

 したがって、『容器』で権利化できれば、
   『バケツ』の権利より広い権利となるのです。

 

 ここまで見てくると、『審査請求』が必要な特許出願では、『特許
請求の範囲』すなわち『請求項』が非常に大切でありますが、
『発明の名称』もおろそかにできませんし、『明細書』で使う『用語』も
大変神経を使わないといけないことになりますね。

 

 もう一度『ハート型バケツ』の本質を再チェックしてみましょう。

 『ハート型バケツ』の請求項は、
 【請求項1】
 バケツ本体の少なくとも上方開口部の形状を、上から見てピーチ形
 乃至ハート形とし開口部一側縁に屈曲角部を形成したことを特徴
 とするバケツ。
となっています。

 特許権は、『技術の組合せ』ですから、チョッと強引で無理があります
が、この『請求項』を形状ではなく技術的に言い換えてみます。

 言い換え【請求項】
 バケツ本体の少なくとも上方開口部の形状が、上から見て一方の
 側に凹部を、対向する反対側に尖った角部を形成し、凹部と角部の
 間が内部から外部方向に膨らむ外周を有するバケツ。

 かなり強引に言い換えましたが、この【言い換え請求項】の中からなくても良い表現を取除いて、骨だけにして見ましょう。・・・これも強引ですよ・・・


 言い換え【請求項】2
 本体 開口部の形状 一側に凹部 反対側に角部 膨らむ外周
 バケツ。


 骨だけにしたらこれだけになりましたが、更に削って、頭と背骨だけに
したうえで、『バケツ』を上位概念の『容器』にして見ましょう。


 言い換え【請求項】3
 本体 開口部の形状 一側に凹部 容器(バケツ)。

 

 サテ、これで発明(考案)の骨組みすなわち本質がつかめましたが、
このままでは『請求項』になっておりませんので、『請求項』らしく書き
直して見ましょうね。

 【請求項】案1
 容器本体の開口部の形状が、一側に凹部を有することを特徴とする
 容器。

 いやぁ〜! 驚くほど広い考え方になりました。
 これだと、『一方の側に凹部がある容器』は、全て含まれます。

 と言うことは、軍隊用に作られ、登山・キャンプなどに使用される
『ハンゴウ』を引用例として拒絶される可能性が出てきました。
 ※ ふた付の底が深い携帯用の炊飯具で、腰に下げて携行するため
   体にフィットさせるため片側に凹部があります。

 さぁ〜、ハンゴウと区別するにはどうしたら良いのでしょうか?

 もしかすると、この出願人は、このことを予測して『ハート型バケツ』に
限定したものを、調子に乗って『容器』に広げた私がいけなかった
のかも知れませんね。


 しかし、せっかく広げたものを、今さら『バケツ』に限定したくないです
から挑戦してみましょう。


 まず、発明・考案の容器の目的は、液体や物を運ぶ

 ハンゴウの目的は、飲食物の炊飯


 続いて、容器の使用状態は、ハンドルを持って下げると、『凹部が足の
側部にはまる』

 ハンゴウの使用状態は、腰に下げて携行すると、『凹部が腰にはまる』


 『凹部が足の側部にはまる』のと、『凹部が腰にはまる』のでは、
『目的』も使用状態も違いますから、最終的に権利化の障害には
ならないでしょう。

 と言うことで、『凹部が足の側部にはまる』と、『凹部が腰にはまる』の
違いを『請求項』で表現すればよさそうですね!

 


 【請求項】案2
 容器本体の開口部の形状が、一側に凹部を有し、この容器本体の
把持部を手に持って下げたとき、一側の凹部が足の側部にはまることを
特徴とする容器。


 これでハンゴウと区別した上で『アイデアの本質』も表現できました。

 表現方法は、書き手それぞれで違ってきますからこれ以外の書き方
でも良いのです。

 そのことよりも、ここまでやれなくとも、このメルマガを参考に、
弁理士に出願を依頼する前に、
   アイデアの本質にどこまで迫るか!
が、非常に大切です。

 そうした考えもなしに、発明ができました、先生、これを出願して
ください、と、『丸投げ出願』したら、『特許の落し穴』にはまり、模倣者の
餌食になりますからご注意願います。


 ということで、2回にわたる『模倣防止は、発明の本質の把握から』を
終わります。


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  ◆【あとがき】


 7月も半ば、暑さが増すばかりです。

 アブラゼミが、ますます元気に鳴いています。

 部屋の下のちっちゃな遊園地で、子供たちが元気に遊んでいます。
 来週の21日から夏休みで、朝から元気に飛び回ることでしょう。

 ああ〜ぁ! 元気な子供たちがうらやましい。


 そんな中で、ダミ声を上げて子供を怒鳴っている母親が一人!
 30過ぎの母親が、幼稚園児や小学低学年の子供と同じ立場で怒鳴り
まくる姿は、まるで鬼婆みたいですね!

 セミや、子供たちの元気な声は、気にならないのですが、
   『鬼婆のガナリ声』には、閉口している今日この頃です!


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 今日も、最後までお読みいただきまして 本当に有り難うございました。

 いかがでしたか、お役に立てたでしょうか?


 あなたさまの ご健闘を お祈り 申し上げます。


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