特許の本質を考える

特許の本質を考える


先ほどチョッと触れましたが、『特許の本質』について考えてみましょう。
それほど難しいことを書きません。実例で、考え方の基本を分りやすく説明します。
 
例えば、「耳かき」 一般に[耳かき]は、柄の先端に少しカールしたヘラがついています。今までは、柄の先端にヘラがついた[耳かき]しかなかったときに、[ヘラ]の代りに釘の頭のような[フランジ]をつけた[耳かき]を考えたとします。

この柄の先端を[フランジ型とした耳かき]の構造は、大変簡単だから特許権は取れない、と考える方が大変多いのですが、特許権は、構造が簡単だから取れない、と言うものではありません。

特許権は、構造に与えられるものではありません。

特許権は、この様な[耳かきの先端をフラン字型にした]と言う[考え方]に与えられるものです。論より証拠を、お見せしましょう。平成19年3月13日に特許登録されています。

特許第3947281号 耳かきの製造方法及び耳かき


図の左端が、フランジ状になっていますよね。
そして、拒絶理由として引用例が9本もきました。
9本の引例をクリアーするのは大変だったでしょうが、無事特許権が取れています。
ちなみに、9本の引例を列挙しましょう。
1、実開平07−020975、  2、実開平05−046393
3、実開平05−060387、  4、実公平04−051658
5、実開平03−109589、  6、実開昭63−167992
7、実開昭55−010694、  8、実開昭49−112484
9、実公昭10−002201

その中の6番目:実開昭63−167992の請求の範囲には、次のように書かれていました。

軸部と、該軸部の先端に設けられた耳垢かき落とし部とを備えていて、前記耳垢かき落とし部は、前記軸部と略同心のフランジ状に形成されていて、その先端側は半球状面に、後端側は前記軸部の長手方向に対して略直角もしくは先端側に向って凹む凹面に形成されていることを特徴とする耳かき。



如何ですか、これで特許は、構造ではなく「考え方すなわち思想」だと言うことをお分かりいただけたでしょか。

さあ! これで特許権は、構造が簡単でも取れることが分りました。

この出願の本質部分は、軸部と、該軸部の先端に設けられた耳垢かき落とし部とを備えていて、前記耳垢かき落とし部は、前記軸部と略同心のフランジ状に形成されていて、その先端側は半球状面に、後端側は前記軸部の長手方向に対して略直角もしくは先端側に向って凹む凹面に形成されていることを特徴とする耳かき。

これではわかりつらいので整理しましょう。
軸部と、該軸部の先端に設けられた耳垢かき落とし部とを備えていて、前記耳垢かき落とし部は、フランジ状に形成されていることを特徴とする耳かき。
もし、これで特許権が取れていたら次のような模倣品が出てきても怖くないですね!

1.フランジ状の耳垢かき落とし部が、軸部と偏心させる
2.フランジ状の耳垢かき落とし部の先端側が、平に形成する

 

しかし、先ほど私がつくった『請求項』が、

軸部と、該軸部の先端に設けられた耳垢かき落とし部とを備えていて、
前記耳垢かき落とし部は、『T型の』フランジ状に形成されていることを
特徴とする耳かき。

となっていたとします。

これは、模倣者が手をたたいて喜ぶでしょうね!
というのは、模倣者が『L型のフランジ状』にしてくると、逃げられる
危険が出てくるのです。

ましてや、『スクリュー型』にしてきたらこれはもうどうしようもないです!


悪質な模倣者は、こうやって特許権のアラ探しをしてでも【特許の落し穴】をついてくるのです。

【特許の落し穴】には、気をつけましょう!

 

▲ トップページ 模倣防止3つのツボの詳細は こちらから
▲このページのトップ 特許の落し穴は コチラ