非まじめ発創の基本的考え方 4 追及・展開した目的の技術的組立

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『 非まじめ発創の基本的考え方 4 追及・展開した目的の技術的組立 』
 2008.2.19. 56号 非まじめ発創塾 坂井 徳栄
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 非まじめ塾の坂井です。


 雪の新潟:三条は、寒いです。
 13日(水)の夕方は、大荒れで、20〜30m先が見えず、
ハンドルにシガミついて必死に運転していました。

 でも、北海道のマイナス20〜30度を思えば、極楽です。
 昨日は、久しぶりの青空で、五十嵐側の土手を4日ぶりに散歩しました。

 室内に閉じこもった植物状態から飛び出し、
青空の下での散歩は、気分爽快です!( ニコ! ニカ! 快々! )

 

 でも、お客様の『社長様に叱られ』泣いています。
 地元では、大手に入る会社です。

 この会社からあることで相談を受けたのですが、私の説明が気に
入らなかったようです。

 と言いますのは、特許電子図書館のキーワ−ド検索を使って簡単な
調査をしてみたら同じ名称で十数件の先願があったのです。

 そこで、このまま出したら権利にならないだけでなく、使い始めてから
   『 権利侵害だ 』 と、言われたらどうしますか?
 先に特許調査しませんか?

 権利侵害になってから中止すると、
これから実施するのにかかる膨大な費用が無駄になりますよ!
と言う趣旨の説明が、いけなかったようです。

 イヤ、説明の仕方が悪かったのでしょうね。
 日本語は、ホントにむつかしい。
    外国語は、なおダメ。

 

 あなたは、この説明が、ナゼいけないのか、分りますか?

 実は、私の説明を受け取った人の『受け取り方』の問題なんですが、
このたびのアイデアは、この社長さんのお気に入りで、
『 お気に入りのアイデアを否定された 』 と、受け取られたのですね!


 もしかすると、私の表現力に問題があるのかもしれません。
 別の言い方をすれば、良い結果になったのかもしれませんね。

 社長様にとって『お客様は、神様だ』と言う思いが強いのでしょうが、
特許庁の審査官も、他の権利者も、吉田某?みたいに
『そんなこと 関係ねェ〜!』と、受け入れてくれるわけないですよね。

 でも、『金を払うのは、お客様』ですから、取引中止になるかも・・・?

 

 しかし、しかしです、私の役割は、
   お客様が気づかないことで、私に予測できる出願時のリスクを
少しでもお知らせし、取り除いてやることだ、と考えています。

 したがって、私の説明が気に入らないと言って私を拒否する方々は、
   縁のなかった人々だ  と、考えておりますが・・・

 

 さぁ〜 泣き言は、コレまでにして本題に入りましょう。

 今日の本題は、『 非まじめ発創の基本的考え方 』の最終回
   『 追及・展開した目的の技術的組立 』です。

 

■■■ ポイント ■■■

 ● 『見る』 ⇒ 『観る』 への転換

 ● 『目的追及・展開』

 ● 『追及・展開した目的の技術的組立』

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 今回は、
 第三のポイント ★ 『追及・展開した目的の技術的組立』 ★

 

 再度、ホッチキスを例として取上げます。
マックス(株)のURL ⇒ http://wis.max-ltd.co.jp/op/h_story1.html


 前回の『メルマガ』でホッチキス「HD−10」の『目的』を
  『目的1』 針の両端を内側に曲げる
  『目的2』 クリンチャの耐久性をあげる
  『目的3』 間違えてとじた針を引き抜く
  『目的4』 針の先端を平らに折り曲げる
と、『4つの目的』を例として書きましたが、この『4つの目的』の
技術の中身は、どうなっているでしょうか?

 前回の繰り返しですが、順を追ってみていきます。

 

 『目的1』 針の両端を内側に曲げる

 この目的を達成するために使われている技術は、
 台(クリンチャーアーム)の先端(クリンチャ:溝つき金具)に
2本のU型の溝が直列に並んでいます。

 針の断面が、厚さ3に対し、幅が5になっています。

 使われている技術の一つ一つを見ると、分りきった簡単な技術ですね。

 新しい技術は、一つもありませんね。


 でも、しかし、これが『特許の本質』なんですよ。
 ( くわしくは、ホームページの『特許の本質』をご覧下さい。
⇒ http://www.himajime11.com/category/887978.html )


 では、特許権が取れる要素は、何でしょうか?
   1. 新規性………今まで世界中のどこにもなかったこと
   2. 進歩性………今まであったものより優れていること

 少なくとも、この2つの条件を満たさないと、特許権は、取れないわけ
ですが、『目的1』で使われている技術のどこに新規性と進歩性があるので
しょうか?

 使われている技術をバラバラにすると、どこにも新しさがないのです。


 しかし、『台(クリンチャーアーム)の先端(クリンチャ:溝つき金具)に
直列に並んだ2本のU型の溝』を持ったホッチキスは、今までなかったら、
   この技術の組合せ方が、新規なのです。

 しかも、『この技術の組合せ方のホッチキス』が、『今までのホッチキス』
よりも素晴しい効果があれば、 進歩性が認められ、特許権 となるのです。

 

 次は、『目的2』 クリンチャの耐久性をあげる

 『目的2』に使われている技術は、
   『クリンチャの溝には焼き入れをほどこした』ことです。

 日本の『たたら製鉄』だけでも1000年以上の歴史があるのですから
金属の焼入れは、一般人にも知られている技術です。


 先ほども言いましたが、新規性と進歩性の2つの条件を満たさないと、
特許権は、取れない のですから、『目的2』で使われている技術の
どこに新規性と進歩性がある のでしょうか?

 今まで、『直列に並んだ2本のU型の溝に焼入れをほどこした』ホッチ
キスがなかったら、この技術の組合せ方が新規なのです。

 そして、『この技術の組合せ方のホッチキス』が、『今までのホッチキス』
よりも素晴しい効果があれば、
  進歩性が認められ、特許権 となるのです。

 

 次は、『目的3 間違えてとじた針を引き抜く』です。

 さて、書類を逆さまにとじたり、キチンととじられなかったときに、
あなたはどうしますか?

 今は、ホッチキスの台の後端にとがった突起があるから良いのですが、
もし、この突起がなかったらどうやって針を引き抜くでしょうか?


 この不具合を解決したのが『ホッチキスの台の後端にとがった突起』です。

 この『メガネ』型に盛り上がった針の両端に『とがった突起』を差込んで
ひねると、針の両端が浮き上がります。

 針の両端が浮き上った状態で、とじた書類の表側の針と紙の間に
とがった突起の先端を差込めば、『間違えてとじた針を簡単に引き抜く』
ことができますね。


 コレは、商品開発の原点『不の解決』ですね。
 商品開発の原点『不の解決』ですが、『不』を見つけられないときは
どうしますか?

 『不の発見』には、『商品のアラ探し』が、大切です。

 『人のアラ探し』は、誰でもやりますが、トラブルの元です。

 しかし、『商品のアラ探しだし』、この『商品のアラ』を解決すれば、
   世の中の進歩に役立つ上に、巨万の富を得る
ことも不可能ではありません。

 『商品のアラ探し』は、大いにやりましょう。
 『探しだした商品のアラ』の解決策が見つからないときは、
相談に乗りますよ!


 そこで、新規性、進歩性について再度みていきましょう。

 まずは、新規性です。

 今までのホッチキスに、針の両先端の隙間に差し込み、針を抜き取る
突起があったでしょうか?

 あればハンマーや工具で『メガネ』型に盛り上がった針の両端をつぶす
必要がないわけですから、問題なく新規性はクリアーです。

 それでは、進歩性はどうでしょうか?

 ハンマーや工具を使わずに『針を引き抜ける』と言う効果があります。

 その上、これなら構造的に大変簡単で、製造コストもほとんどかかりません。
メーカーに取っても、大変うれしい素晴しい発明なんです。

 

 さて、最後の『目的4 針の先端を平らに折り曲げる』です。

 あなたもホッチキスでとじた書類は、針の両先端がメガネ型に曲がって、
ホッチキスで止めたところがふくらみ、大量の書類を重ねることができない
と言う経験をお持ちでしょう。

 このことは前回も書いたとおりです。

 この『大量の書類を重ねることができない』と言う『不』すなわち不都合を
解決したのが、『目的4 針の先端を平らに折り曲げる』です。


 では、『目的4』のホッチキスの構造は、何でしょうか?

 『目的4』のホッチキスは、今までと次の点が違います。
 1. 直列に並んだU型の2本の溝を浅くしました
 2. クリンチャの両脇にクリンチャガイドを取り付け、とじ紙に針の
   先端が貫通するまで下側からこのクリンチャガイドで支えます
 3. とじ紙に針の先端が貫通し、さらに針が押し下げられて針の先端が
   クリンチャの溝に当ると、クリンチャが上に持ち上がり、ハンドル
   に取りつけられたドライバーの間に挟まれた針の両先端が内側に
   曲り、紙がとじられます

 詳しくは、マックス(株)の『ホッチキス物語』をご覧ください。
   ⇒ http://wis.max-ltd.co.jp/op/h_story2.html


 1. 直列に並んだU型の2本の溝を浅くしました

   この点は、それほど大きな変化ではありませんが、次の2と3の
  違いが大きいですね。

 2. クリンチャの両脇にクリンチャガイドを取り付け、とじ紙に針の
   先端が貫通するまで下側からこのクリンチャガイドで支えます

 この違いは、今まで方々で使われていた技術ですから、技術自体の
目新しさは、ありません。

 しかし、ホッチキスにとっては大変大きな違いですね。


 さらに、次の3は、ホッチキスとしては、革命的変化ではありませんか?

 3. とじ紙に針の先端が貫通し、さらに針が押し下げられて針の先端が
   クリンチャの溝に当ると、クリンチャが上に持ち上がり、ハンドル
   に取りつけられたドライバーの間に挟まれた針の両先端が内側に
   曲り、紙がとじられます。

 

 さて、新規性と、進歩性は、如何でしょうか。

 新規性については、1も、2も、3も、ホッチキスとしては、全て新規です。
 特に、2と3は、ダントツの変化ですね。


 進歩性は、1,2,3の複合技術すなわち合せ技と言う見方をすると、
今までのホッチキスでは、絶対に解決できない『不』を解決してくれました。

 すなわち、
 ホッチキスで同じ所をとじた大量の書類を重ねられる
 ホッチキスとしては、革命的な効果
を得ることができたのですから進歩性に文句のつけようがありません。


  ※ メルマガで何回も触れていますが、
 特許の世界では、『当業界』と言って「調理器具なら調理器具」、
「筆記具なら筆記具」の業界で知られていない技術には、
新規性も、進歩性も認められやすいです。

  ※ もし、あなたが、これらの1〜3の技術の組み合わせ方と違う
    技術の組み合わせ方で、針の両端を平にとめることができれば、
    新たに特許権を取れる可能性が強いです。

 

 以上1〜4まで4つのそれぞれの【目的】にについて検討してきましたが、
非まじめ発創の3つの基本
 ● 『見る』 ⇒ 『観る』 への転換
 ● 『目的追及・展開』
 ● 『追及・展開した目的の技術的組立』
の中では、今回検討した3番目の『追及・展開した目的の技術的組立』
自体は、それほど難しいことでありません。

 言葉の上では、1の『見る』⇒『観る』への転換が、一番やさしそうで、
次が、2の『目的追及・展開』でしょう。

 しかし、いざやろうとすると、逆です。
 1の『見る』⇒『観る』への転換が、一番むつかしいのですよ。

 人だけではありません。
 言葉も『見かけ』だけで判断すると、とんでもない間違いを犯すことに
なりますから気をつけてください。

 

 以上、ホッチキスの『追及・展開した目的の技術的組立』について不十分ながら検討してきました。

 『追及・展開した目的の技術的組立』で重要なことは、
   1.【技術の組合せ】が、今までの商品に使われていなかった
     ・・・新規性
   2.【技術の組合せ】が、今までの商品と比べて効果がある
     ・・・進歩性
 この2点についてどれだけ差を出せるかが、特許をとる上で重要です。

 

 

★ 特許は、【従来技術の新しい組み合わせ】に過ぎません。 ★

 ● 『見る』 ⇒ 『観る』 への転換
 ● 『目的追及・展開』
 ● 『追及・展開した目的の技術的組立』
この3点をやれば、新商品の開発も、特許権の獲得も、
お茶の子さいさいです。

 

 

 それでは、今日は、ここまで
 今回も、予定のページ数を大きく超えました。


■■■ ポイント ■■■

 ● ・・・新規性・・・
   【技術の組合せ】が、今までの商品に使われていなかった

 ● ・・・進歩性・・・
   【技術の組合せ】が、今までの商品と比べて効果がある


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


 【あとがき】


 平成20年、年が改まった1月8日以来、4回にわたって
     『非まじめ発創の基本的考え方』
をお伝えしてまいりましたが、如何でしたか?


 あり経営コンサルタントは、私のホームページを見て
   新しいものが一つもない と、ケチをつけてくれました。

 しかし、商品開発も、特許権獲得も、目新しいテクニックなど無用です。

 必要なのは、基本に従って一つづつ改善することです。


 まず最初は、 『見る』 ⇒ 『観る』 への転換
 次に、    『目的追及・展開』
 仕上げが   『追及・展開した目的の技術的組立』

 こうして生れたアイデアを、新規性と進歩性でみてください。


 コレだけのことを、徹底的にやれば、
商品開発も、特許権獲得も成功できるのです。

 

 

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