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『 非まじめ発創の基本的考え方 3 目的追及・展開#2 』
2008.2.5. 55号 非まじめ発創塾 坂井 徳栄
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非まじめ塾の坂井です。
今日の書き出しは、いつもとちょっと違います。
まずは、【成功体験のわな】に落ちたマイクロソフトとヤフー!
2月2日の朝刊に『マイクロソフト:米国ヤフーに買収提案』と言う
見出しが大きく書かれていました。
ご存知のとおりマイクロソフトは、世界のコンピューター界に君臨する
大巨人です。
一方のヤフーは、グーグルが誕生した1998年までは、ネット検索
サービスでは、ダントツの大巨人として君臨していました。
もちろん、マイクロソフトもネット検索サービスをやっています。
そして、マイクロソフトとヤフーは、’06〜07年にかけて経営統合を
含む協議を数回持ちましたが、ヤフーに断られました。
にもかかわらず、なぜ、マイクロソフトがヤフーに再度経営統合の提案
をしたのでしょう?
理由は、簡単です。
マイクロソフトもヤフーもネット検索サービスでは、グーグルに
さらに水をあけられているのです。
では、なぜ、ネット検索サービスにかんしてマイクロソフトもヤフーも
グーグルに追いつけないのでしょうか?
マイクロソフトもヤフーも、過去に、それぞれの業界で世界の大巨人
として君臨していたという素晴しい『成功体験』があります。
この素晴しい『成功体験』が、『牙を向いて自己におそいかかって』
いるのです。
マイクロソフトもヤフーも、いわゆる『成功体験のわな』に落ちたのです。
皮肉なことに『成功体験』が強いほど、『成功体験のわな』に落ちやすいのです。
※ 『 ご存知ですか? 【成功体験の逆襲】』として
1年前の2007.01.16. bQ6をご参照ください。
⇒ http://www.himajime11.com/article/13158304.html
この『成功体験のわな』に落ちると、新商品の開発がとどこおります。
飛ぶ鳥の勢いで躍進し、アッという間に株式市場に上場した企業が、
逆に、アッと言う間に市場から消えて倒産するのも、『成功体験のわな』
に落ち、次の商品が開発できないことが原因となることが多いです。
最近、勢いがなくなっているソニーも、過去の『成功体験のわな』に
落ちているのではないでしょうか?
一方、松下電器はどうですか?
今年の10月1日付で社名から『松下』を外し、
『パナソニック株式会社』に変更すると言った決断を下しました。
この決断は、中村前社長以来の『成功体験のわな』脱出作戦の成果でしょうね。
前置きが長くなりました。
『成功体験のわな』は、ここまでにして、本文に入ります。
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今日の本題『非まじめ発創の基本的考え方:目的追及・展開#2』に
入ります。
■■■ ポイント ■■■
● 『見る』 ⇒ 『観る』 への転換
● 『目的追及・展開:#2』
● 『追及・展開した目的の技術的組立』
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今回は、
第二のポイント ★ 『目的追及・展開』 #2 ★
今日は、ホッチキスの【目的を追求・展開】することが、
新商品開発や、強い特許権獲得にどれほど役立つか
をご理解いただきたいと思います。
いや、【目的を追求・展開】は、新商品開発と強い特許権獲得にのみ
役立つわけではありません。
私自身、この【目的を追求・展開】を十分に役立てきれていない
のですが、私生活或は社会生活のあらゆる場面で
【目的を追求・展開】を実行できれば、
確実に成果を上げられることを保障します。
今日、例として取り上げたのは、マックス(株)のホッチキスですが、
読み進めていただければお気づきになりますが、
どの例も、すべて【目的】が違います。
【目的】が違えば、必ず【技術の組合せ方】も【効果】も違います。
【目的】が違うことにより、【技術の組合せ方】も【効果】も違えば、
『進歩性』すなわち『従来の商品よりどれだけ大きな効果が得られるか』
で、特許権が取れるか、取れないかが、決まります。
以上のことを、十分に頭に叩き込んだ上でお読みいただければ、
【目的の追求・展開】の重要性
ご理解いただけるものと思います。
ホッチキスは‘07.9.19. #44 『ローテク商品で勝ち上がれ』
でも取り上げましたが、そのときとチョッと視点が違います
⇒ http://www.himajime11.com/article/13207965.html
マックス(株)のURL ⇒ http://wis.max-ltd.co.jp/op/h_story1.html
マックス(株)のホッチキス「シック・10」が発売されたのは、
昭和27年7月です。
その後、商品名を「MAX・10」、「HD−10」と変えましたが、
基本性能に変化はなく、使い勝手の向上に工夫を重ねてきました。
すなわち、『目的』を『使い勝手の向上』においたわけです。
もう少し詳しく見ていきましょう。
『目的1』 針の両端を内側に曲げる
この目的を達成するためにどんな技術が使われていると思いますか?
先ず第一に、台(クリンチャーアーム)の先端(クリンチャ:溝つき金具)
に2本のU型の溝が直列に並んでいます(これは皆さんお気づきでしょう)。
これだけではないのです。
針の断面が、厚さ3に対し、幅が5になっています。
と言うことは、針が溝に沿って曲がりやすいとともに、
紙に貫通しやすく設計されているのです。
『目的2』 クリンチャの耐久性をあげる
ホッチキスの命は、クリンチャの耐久性にあるのですが、クリンチャは
とがった針の先端がひんぱんに当るわけですから傷つき磨耗しやすいのです。
クリンチャが傷つき磨耗すれば、溝の形が変り、針がきれいに曲がら
なくなります。
このクリンチャの耐久性を上げるためにクリンチャの溝には焼き
入れをほどこし、金属の表面を硬くすることで溝のキズ・摩耗を防いで、
いつまでも針がスムーズに曲がるようにしています。
『目的3』 間違えてとじた針を引き抜く
上記の2つの目的は、ホッチキスの針をどうやって曲げるか?
についての『目的』でした。
3番目以下の『目的』は、ホッチキスで紙をとじた後の針を見て、
止めた針の状態をどうするか? と言う視点からの『目的』です。
『目的』の質が大きく変っています。
紙をとじた後の針の形を見てください。
紙をとじた後の針の両端が『メガネ』型になっています。
この両端が『メガネ』型にとじられた針をどうやって引き抜くか?
針の抜取り具の開発ですが、一般に抜取り具のようなものは、
ペンチやプライヤーのようなものを考えるでしょう。
しかし、ホッチキスの場合はそのような道具は必要ありませんでした。
あなたは、もう答えをご存知ですよね。
そうです、台(クリンチャーアーム)の基部に
紙をとじた針のメガネ型の両先端の隙間に、先端を差し込める
とがらせた突起を取りつけたのです。
これなら製造コストもほとんどかかりませんからメーカーとしては、大変
素晴しい発明なんです。
『目的4』 針の先端を平らに折り曲げる
しかしながら、あなたも経験しておられることでしょうが、
ホッチキスでとじた書類は、針の両先端がメガネ型に曲がっているため
ふくらんでしまいますから大量の書類を重ねておくことができません。
と言うわけで 『目的4』 針の先端を平らに折り曲げる
となったわけです。
同社は、従来の台(クリンチャーアーム)の先端(クリンチャ:溝つき
金具)の直列に並んだU型の2本の溝を浅い溝にしました。
その上で、クリンチャの構造を変えたのです。
どう変えたかと言いますと、
クリンチャの両脇にクリンチャガイドを取り付け、とじ紙に針の先端が
貫通するまで下側からこのクリンチャガイドで支えます。
とじ紙に針の先端が貫通し、さらに針が押し下げられて針の先端が
クリンチャの溝に当ると、クリンチャが上に持ち上がり、ハンドルに取り
つけられたドライバー(針を1本づつ押出す板)の間に挟まれた針の
両先端が内側に曲がり、紙がとじられます。
詳しくは、マックス(株)の『ホッチキス物語』をご覧ください。
⇒ http://wis.max-ltd.co.jp/op/h_story2.html
以上1〜4まで4つのそれぞれの【目的】に合わせて開発されたホッチ
キスの例を示しました。
もちろん、これらの例はホッチキスの表面から見える開発例に過ぎ
ません。
例えば、ホッチキスは『テコの原理』を応用した商品ですが、この『テコ
の原理を強化』し、手を握る力の弱い人でも楽々紙をとじられるホッチ
キスなどさまざまなホッチキスがあります。
ここで、ホッチキスにどんな使い方ができるのかを見ていきましょう。
第1に、ホッチキスでポスターなどを壁や板に貼り付けられます。
『タッキング』と言って画鋲代わりに使えるわけです。
第2、あとで針を取りやすいように針の両端を両側に開く仮とじ用。
あとで針を取り外すと言う第2の目的を持ったホッチキスです。
第3に、パワーアップした『テコの原理』の応用品。
今まで説明した「HD−10」型は、片手で指の力で紙をとじるもの
ですが、中型や大型のホッチキスは、指の力だけでは、使いきれません。
そこで考えられるのが、『テコの原理』を二重三重に使い小さな力で
強力な綴じ力を発生させた卓上型や女性用・子供用ホッチキスです。
さて、ホッチキスについてここまで考えてきましたところで、
ホッチキスの異質な【目的を追及・展開】してみましょう。
先ほど『タッキング』と言って画鋲代わりに使えます、と言いましたが、
その【目的】をさらに具体的に「言い表して」見ましょう。
例、建築現場でボードやベニア板を「コの字型針で止め」られないか?
この【目的】を実現したのが、電動カッターです。
工事現場で、『カタ・カタ・カタ〜〜〜』と音が出ていますよね。
同社では、さらに釘打機などさまざまな形で【目的を展開】し、建築
ツールなどの商品を開発しています。
もちろん、建築ツールだけではありません。
製本機などのオフィース機器も開発しています。
以上、ホッチキスについて不十分ながら検討してきました。
ここまで見てきた中で2つ同じものがあったでしょうか?
すべて、【目的】が違います。
【目的】が違いますから、当然、【技術の組合せ】も違いますし、【効果】
も違います。
【目的】が違い、【技術の組合せ】が違い、そして【効果】も違います
から当然、【特許権】が取れてもよいわけですが、もし【特許権】が取れ
ないとしたら、どこかに【問題】となるものがあるわけですね。
その【問題】となるものに次の点が考えられます。
1. 【技術の組合せ】が、従来のものと大差がなく容易に考えられる
2. 【効果】も、従来のものと大差がない
3. 【公序良俗】と言って、公の秩序や法律、世の中の良い風俗に反する
ホッチキスにそんなものがあるわけないと思わないでください。
ホッチキスだって人畜殺傷用ホッチキスとして出願すれば、
一発で拒絶されますよ。
わずかな事例に過ぎませんが、だけで
商品開発段階でも『目的追及・展開』がいかに重要であるか
についてご理解いただけたものと思います。
★ 特許は、【従来技術の新しい組み合わせ】に過ぎません。 ★
【目的の追求・展開】さえ上手くいけば、誰にでも【特許商品の開発】が
できます。
問題は、どうやって売れる商品を見つけるか?
どうやって売れる商品に育てるか?
の2点にかかっています。
★【目的の追求・展開】の出発点は、【見る】⇒【観る】への転換です★
『何』を、『どうやって観るか』が、『決め手』だと言っても過言でありません。
しつこいようですが、大変重要でかつ、難しいことですが、
★ 【見る】⇒【観る】への転換 ★
を頭の中にシッカリと叩き込んでおいてください。
そして、繰り返し練習してください。
頭で分っても、練習しなければ役に立ちません。
それでは、今日は、ここまで
予定のページ数を大きく超えました。
『追及・展開した目的の技術的組立』は、次回、お届けします。
■■■ ポイント ■■■
● 『目的追及・展開』 『観』て、つかんだ『本質』を基に
『目的』を徹底的に『追及し、展開し』よう
● 【目的】が違えば、【技術の組合せ方】も【効果】も違ってくる
● あとは、従来の商品との【効果の差】で、
特許権が取れるか、取れないかが、決まる
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【あとがき】
非まじめ・メルマガは、短めに、短めにと心がけていますが、書いて
いるうちに、ついつい長くなってしまいます。
短いメルマガを書くことが、こんなに大変なことだとは、思いませんでした。
非まじめ・メルマガ、最後までお読みいただきまして
本当に有り難うございました。
今日のメルマガいかがでしたか?
分りやすかったでしょうか?
参考になりましたでしょうか。
この記事について
さんのご感想や、ご意見をメールで教えてください。
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