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『 このゴミ袋 ナゼ権利化できないか? ♯2 』
2007.12.26 52号 非まじめ発創塾 坂井 徳栄
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非まじめ塾の坂井です。
今日も お読みいただきまして有り難うございます。
ご質問や感想もいただけると、ハゲミになります。
ゼヒ、送ってください。
今年もあと5日ですね。
つい先日、『門松や 今年こそはと 始めた』つもりが、
アッという間に、つぎの門松が迫ってきました。
来年もまた( 鬼よ 笑え! )
『門松や 今年こそはと 始める』私です。
あなた様にとって、どんな1年でしたか。
来年は、どんな年にしたいですか。
せめて来年の漢字を
『誠』、『真』・・・などの明るい漢字にしたいものですね。
ところで、今年、最期のメルマガになりました。
来年は、あなた様ににとって
素晴しい1年になりますことをお祈りします。
今日の本題に入りましょう。
■■■ ポイント ■■■
● 【請求項】に書く内容は、句読点を始め1字1句が重要な意味を
持つ。
● 【請求項】に書く内容は、【詳細な説明】の中でも、特に【発明を実施
するための最良の形態】と【実施例】に書いた内容しか書けない。
● 【発明を実施するための最良の形態】と【実施例】に書く内容は、
出願人が決めるもので、決めた内容をどのように弁理士に伝えるかが、
強い特許権を取れるか取れないかの決め手となる。
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前回の最期に、
次回は(この52号)、特開2003‐206002号
【動物忌避機能付きごみ袋】を出願前にさかのぼり
『観て』、『目的を追求・展開し』、
『追及・展開した目的を実現する手段を組み直し、他の実施例』
を検討してみようと思います。
と書きましたが、チョッと変更して、
『請求項に使われている用語』を見直したいと思います。
またまた、この出願にケチをつけるような言い方で恐縮ですが、批判する
ことが目的ではなく、請求項は、このような考え方で見て欲しい、書いて
欲しい、という、私なりの見解に過ぎません。
・・・この出願は、周囲に状況からこう書かざるを得なかったのでしょう・・・
出願人さん、弁理士さん、ご容赦ください。
先ずは、 特開2003‐206002号 の請求項を見てください。
【特許請求の範囲】
【請求項1】延伸テープで織成された生地と、当該生地の一側面に配設
されるラミネート部分とを有し、当該ラミネート部分には動物忌避剤を混練
若しくは塗布されて袋素材が形成され、袋素材をその動物忌避剤が混練
若しくは塗布されたラミネート部分が内面側に位置する状態で袋状に形成したことを特徴とする動物忌避機能付きごみ袋。
このままでは、読み辛いでしょうから、適当な短文に分けてみます
(分節、あるいは項分け、と言います)。
【請求項1】
1.延伸テープで織成された生地と、
2.当該生地の一側面に配設されるラミネート部分とを有し、
3.当該ラミネート部分には動物忌避剤を混練若しくは塗布されて袋
素材が形成され、
4.袋素材をその動物忌避剤が混練若しくは塗布されたラミネート部分が
内面側に位置する状態で袋状に形成した
5.ことを特徴とする動物忌避機能付きごみ袋。
いかがですか?
分節により1つの文を改行しただけで、1字1句、省いておりませんが、
なぜか、分りやすくなったと思いませんか?
残念ながら私は、難しい請求項になると、今でもこうやって分節して
意味を理解しています。
また、請求項を書くときは、この逆で、絶対欠かせない、書き落としては
ならない重要部品などを、1行1単語で羅列してから書き始め、それを
1つの文章となるようにつなげていきます。
さて、分節した単位ごとに検討していきましょう。
先ずは、『1.延伸テープで織成された生地と』
動物忌避機能付きごみ袋(以下、ゴミ袋)の生地のことです。
このゴミ袋は、延伸(伸び縮みすることにより強度を持てせる意味)
テープで織成(布のように織ること)された生地、ということです。
もっと分りやすく言いなおしてみましょう。
伸び縮みするテープで織られた生地のことです。
ここに1つ問題点があります。
延伸テープの『延伸』に問題があるのです。
延伸の後に( )カッコ書きして(伸び縮みすることにより強度を持てせる
意味)と書きましたが、一般に『延伸』には『伸び縮みする』意味があり、
『延伸テープ』の代りに、普通の『伸び縮みしないテープ』を使った場合、
権利侵害にならない危険があります。
しかし、この明細書を書いた方は、延伸しようが、延伸しまいが、
『長いテープ、でった生地、と言う意味で書かれたものと思います。
あるいは、想像に過ぎませんが、出願人が『テープに弾力性がある』
と説明したのではないでしょうか?
無料レポート『特許の落し穴』で『宅配便の送り状』で『拝着』と書いた
ため特許裁判に負けた話をしましたが、特許裁判では、このような言葉の
端々が争われることが多いのです。
明細書下記のプロである弁理士といえども、神様ではありませんから
100%完全な明細書、特に請求項を書くとは至難の業であるばかりで
なく、不可能と言っても良いでしょう。
したがって、出願人が弁理士にどこまで伝えられるかが重要なのです。
残念ながら、もちろん、私にも100%完全な請求項を書くことはできま
せん。
つぎは、『2.当該生地の一側面に配設されるラミネート部分とを有し』
この伸び縮みするテープで織られた生地の一側面(表裏何れか一方の
側、両方であっても良いのです)に配設される(設けられる)ラミネート
部分とを有し、という意味です。
ここで注意が必要なのは、『両側』とすると、『片側にのみラミネート
部分』を設けたものは、特許法では権利侵害にならない、という点です。
ホントに、特許法は、嫌な法律です。
続いて、『3.当該ラミネート部分には動物忌避剤を混練若しくは塗布され
て袋素材が形成され』
当該ラミネート部分には動物忌避剤(唐辛子などに含まれるカプサイ
シン等の辛味成分)を混練若しくは塗布されて袋素材が形成され
ここは、『動物忌避剤』となっていますが、もし『カプサイシンの辛味
成分』とすると、カプサイシン以外の辛味成分』は、権利じゃないと、
自ら主張したことになります。
ましてや、『唐辛子に含まれる辛味成分』とすると、同じ辛味成分でも、
ほかの植物に含まれるカプサイシンを使ったら権利外になってしまいます
から注意が必要です。
また、『混練若しくは塗布され』と書かれていますが、もし『混練され』と
書かれていれば、『塗布され』たものは、権利外です。
そして『塗布され』と書かれていれば『混練され』たものは、権利外です。
引き続き、『4.袋素材をその動物忌避剤が混練若しくは塗布されたラミ
ネート部分が内面側に位置する状態で袋状に形成した』です。
ここでは、『袋生地』ではなく『袋素材』になっていますが、『袋の原料
である生地』を指しています。
この4を分りやすく書くと、
『その動物忌避剤を混練若しくは塗布したラミネートの生地を形成し、この
ラミネート生地が袋素材の内面側に位置する状態で袋状に形成した』と
いうことです。
もっと言えば、『その動物忌避剤を混練若しくは塗布したラミネートの生地
を袋素材の内面側に貼り付け袋状に形成した二重袋』ということです。
最期は、『 5.ことを特徴とする動物忌避機能付きごみ袋』
以上、1〜4の要素を持った動物忌避機能付きごみ袋が、出願人の
主張する特許権です。
この1〜4の要素のうちどれか一つなくしても、この特許出願に触れない
のです。
特許請求の範囲の請求項の説明は、以上で終わりますが、この『請求
項』に書ける内容に制限がありますので、この制限についてチョッと触れておきます。
何よりも重要なことは、『請求項』に書く内容は、特許出願時に特許庁に
提出する【発明の詳細な説明】の中で【課題を解決するための手段】、
【発明の効果】、【発明を実施するための最良の形態】、【実施例】、【産業
上の利用可能性】に書いてあるコトガラの中から出願人が必要と思う
コトガラを短い文章にまとめて書くことになっています。
このなかでも特に、【発明を実施するための最良の形態】、【実施例】に
書いてあるコトガラが、重要です。
もし、【発明の詳細な説明】に書いてないことを書いても特許権になら
ないばかりか、それだけで【拒絶理由】になりますからご注意ください。
例えば、鍋の出願にナイフのことをどんなにこと細かくていねいに説明
しても無意味だと言うことです。
ですから、特許が分らなくとも、出願書類が書けなくとも良いですから、
出願人は、【発明を実施するための最良の形態】、【実施例】に書く内容に
ついてできるだけ詳しく弁理士に伝えなければ、良い出願ができません。
マネられない強い特許権を取るには、【発明を実施するための最良の
形態】、【実施例】に書く内容を出願人が何所まで用意するかにかかって
いるのです。
【ご注意】
ただし、一つご注意願いたいことは、
【実施例】が多すぎると、出願経費がかさむことですね。
ある県の知的所有権センターの特許アドバイサーから聞いた話ですが、
書きすぎで、特許出願だけで100万円以上かかり、
銀行借入で支払ったため返済に困っているそうですよ。
こんなことにならないように気をつけてくださいね!
特許調査の内容と比較し、よく検討してください。
もちろん、弁理士ともよく相談することが大切です。
所で今回取上げた題材は、前回書いたように出願人が『拒絶理由通知』
に応答しなかったため、この出願は特許権を取れませんでした。
したがって、誰が使っても良いのです。
■■■ ポイント ■■■
● 【請求項】に書く内容は、句読点を始め1字1句が重要な意味を
持つ。
● 【請求項】に書く内容は、【詳細な説明】の中でも、特に【発明を実施
するための最良の形態】と【実施例】に書いた内容しか書けない。
● 【発明を実施するための最良の形態】と【実施例】に書く内容は、
出願人が決めるもので、決めた内容をどのように弁理士に伝えるかが、
強い特許権を取れるか取れないかの決め手となる。
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【あとがき】
このメルマガも、出願人や弁理士に誤解され、苦情が出ないかと
心配です。
出願の仕方が、良いとか、悪いとかではなく、どうやったらより良い
出願ができるか、について、私なりの見解を書いたものです。
こうやれば、絶対だと言うものではありませんから・・・ご容赦願います!
非まじめ・メルマガ、最後までお読みいただきまして
本当に有り難うございました。
今日のメルマガいかがでしたか?
難しい内容だったのですが、分りやすかったでしょうか?
参考になりましたでしょうか。
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