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『 【ハート型バケツ】は、権利になるか? 』 その1
2007.10.30. #47 非まじめ発創塾 坂井 徳栄
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非まじめ塾の坂井です。
今日も お読みいただきまして有り難うございます。
ご質問や感想もいただけると、ハゲミになります。
ゼヒ、送ってください。
今日の『バケツ』に関する記事なんか興味ないと、
おっしゃる方もおられるとは、思います。
『バケツ』は、誰にでも図面ナシで分るので、
メルマガの記事として書きやすいのです。
ご容赦ください。
しかし、読んでおくと、
ご自分が出願にかかわるときに大変役立つ内容です。
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■■■ 今日の非まじめポイント ■■■
● 従来できなかった『新しい効果』を徹底して考えよう!
『新しい効果』さえ見つかれば、ナントカなる。
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さて、今日の非まじめ・メルマガは、
『【ハート型バケツ】は、権利になるか?』
あなたは、【ハート型バケツ】で権利が取れる、
と、思いますか?
昭和60年の実用新案の出願『バケツ』がありました。
当時の実用新案には、特許に劣らない審査基準がありました。
実開昭62‐037248号ですが、審査請求せずに放置されたようです。
(当時の実新は、特許電子図書館でトップページのみ掲載。
できたら特許電子図書館で検索して、図を見ながらお読みください。
⇒ http://www.ipdl.inpit.go.jp/homepg.ipdl )
【請求の範囲1】には、
バケツ本体の少なくとも上方開口部の形状を、上から見てピーチ形
乃至ハート形とし開口部一側縁に屈曲角部を形成した
ことを特徴とするバケツ。
と書かれています。
図面は、図1に斜視図が、図2に平面図があります。
しかし、この出願が、審査請求されたか、どうかは、『経過情報はナシ』となっているので確認しておりません。
さあ、これだけの情報から、この出願が果たして権利になるか、ならないか?
検討してみましょう。
【請求の範囲1】を見て気づくことは、この出願のポイントは、
『ピーチ形乃至ハート形とし開口部』と、
『開口部一側縁に屈曲角部を形成』 の2点です。
それでは、特許或は実用新案が権利になる条件を見ましょう。
1. 新規性、 2. 進歩性
この2つの条件を満たさなければ、特許も実用新案も権利が取れません。
1. 新規性は、十分な特許調査をしないと分りませんので、
当時、このようなバケツが存在しなかったことを前提に見ていきます。
問題は、2の進歩性です。
進歩性とは、何でしょうか?
従来のバケツにはなかった『新しい効果』がある、と言うことでしょう。
とすると、先ほど書いた【請求の範囲1】の2つのポイント
『ピーチ形乃至ハート形とし開口部』と、
『開口部一側縁に屈曲角部を形成』
から『どんな効果が得られるか?』を、明細書に書かなければならないわけですね。
あなたは、『どんな効果が得られる』と思いますか?
先ず、ご自分で考え、その上で読み続けてください。
効果的な訓練になりますよ・・・!
それでは、私の考えを書いてみましょう!
(あくまでも私の考えで、これだけが正解、と言うわけではありません。
審査官を納得させない限り、権利にはなりませんから
審査官を納得させられるだけの理由を考えてください。)
先ずは、『ピーチ形乃至ハート形(以下、ハート形と言う)とし開口部』
従来の『○形開口部』と、この『ハート形開口部』の違いに注目します。
水で『○形開口部のバケツ』を満杯にして取っ手(明細書では、堤手)を
にぎって立ってください。
『○形開口部のバケツ』だと、バケツがモモに当たって持ちづらいし、歩きづらいですよね。
それにくらべ『ハート形開口部』ですとハート形の凹部にモモが
はまって楽に立てますし、『○形開口部のバケツ』とくらべて
ズ〜ッと歩きやすいです。
これは、従来のバケツにはない新規な、効果的な考えですから審査官
も納得して『登録査定』を出すことでしょう。
できれば、『ハート形の凹部』のほかの効果も見つかると、もっといいです。
でも、よほどのことがないと、出願の90%に一度は『拒絶理由通知』で、出願人の考えを確認にきますから、それを覚悟しておいてください。
『拒絶理由通知』がきても、そのうちの60%程度は、『意見書』と、
『手続補正書』でクリアーして権利になっていますよ。
しかし、これだけで安心していると、思わぬ『拒絶理由』が見つかる
かもしれませんので、ほかの効果も考えておきましょう。
『ハート形の凹部』で効果が見つかったのですからつぎは『開口部
一側縁に屈曲角部を形成』について考えて見ましょう。
もちろん、あなたが先に考えてから読み進めてくださいね。
ここでも従来の『○形開口部のバケツ』と『ハート形開口部』の違いを
くらべましょう。
比較の対象ナシでは、比較のやりようがありませんからね。
『○形開口部のバケツ』と『ハート形開口部』の違いは、どこにありますか?
【請求の範囲1】をみると、
『開口部一側縁に屈曲角部を形成した』 とあります。
この『屈曲角部』は、『図面の簡単な説明』を見ると『ハート形開口部』の先端のとがった部分をさしています。
この『屈曲角部』を【請求の範囲1】に書いたということは、従来の
『○形開口部のバケツ』にはない大きな特徴なわけですから、
これに注目しましょう。
この『屈曲角部』があると、何か良いこと、即ち、どんな効果がある
のでしょうか?
バケツに水を注ぐとき?
水で満杯のバケツを持ったり運んだりするとき?
美術品としてのバケツ?
・・・・・・・・・
何か特別な用途・・・?
あ! 何かありそうです。
特別な用途・・・・・
従来の『○形開口部のバケツ』ではできないが、
『屈曲角部』がある『ハート形開口部のバケツ』だとできること・・・・・。
考えてください。
考えて、考えて、考えつくしてください。
実用新案だけではありません、特許権だって、これが決め手なんですから!
くりかえします、
従来の『○形開口部のバケツ』ではできないが、
『屈曲角部』がある『ハート形開口部のバケツ』だとできること・・・・・。
1つだけでなく、2つでも、3つでも・・・多いほど良いのです。
何だ、こんなことか、とか、
屁理屈だ、とか言われたっていいじゃないですか。
審査官が納得する理由さえ見つかればいいんです。
論理的に説明できる『新しい効果』でさえあれば良いんです。
単に『良いんだ、良いんだ』といってもダメですが、
「〜〜〜というわけで良いんだ」と、
ハッキリいえる理由の付いた『新しい効果』であればなんだって良いんです。
私が見つけた
従来の『○形開口部のバケツ』ではできないが、
『ハート形開口部のバケツ』だとできること・・・。
それは、小さな穴や、小さな開口の容器に水を注ぐとき、
『ハート形開口部のバケツ』だと、周りにこぼれずに注ぎやすい
と言うことです。
何だ、そんなこと、ほかの容器や鍋に使われているじゃないか、
と言わないでください。
もともと、特許も実用新案も、従来技術の応用であり、
従来技術の新しい組合せ方なのです。
『ハート形の凹部の効果』という、大きな『新しい効果』を補充する
『第2の新しい効果』は、小さな効果でもいいからできるだけ多くあげておきましょう。
『特許の落とし穴』と言う点で、【請求の範囲1】を見てみましょう。
あっ! またまた長くなってきました。
この続きは、次回『48号』に書きましょう。
■■■ ポイント ■■■
● 新しい構造のアイデアが生まれたら、そのアイデアで、
従来できなかった『新しい効果』を徹底して考えよう!
『新しい効果』さえ見つかれば、ナントカなる。
● 従来できなかった『新しい効果』が見つかったら
同じ効果が上がる別のやり方も考え、
正確に弁理士に伝えよう。
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【あとがき】
最後までお読みいただきまして、本当に有り難うございました。
分りやすかったでしょうか?
参考になりましたでしょうか。
ところで、特許電子図書館でキーワードを『バケツ』で検索したら
特許と実用新案の出願だけで なんと 3761件ヒットしました。
同じキーワードで公告を見たら、特許が1082件、
実用新案が1296件もヒットしましたよ。
一瞬、こんなにあるとはおかしいと思い、これらの内容を見たら
コンベヤなどの搬送手段の部品として書かれている『バケツト』なども
含まれていました。
当たり前ですね。
そこで、『発明の名称』を『バケツ』にして再検索しましたら、
特許出願が166件、公告が53件ありました。
これでも、まだまだバケツそのものに絞りきれておりません。
それではと、『要約+請求の範囲』で見たら
特許出願が641件、特許公告が1082件。
これでは、『バケツ』そのものの調査になっておりません。
あれこれ、手を尽くして『バケツ』そのものにしぼりこんだ結果、
特許公告になったものが19件ありました。
当然のことですが、単なる『バケツ』と言う発明は、1件だけ。
ほとんどが『釣り用バケツ』に特化した公告でした。
商売だけではないですね。
特許でも何でも、『他社との違いを明確』にしないと、
『己の独自性』を確立しないと、成り立たないようですね!
それでは、特許公告され、特許となった19件のリストです。
興味があったら特許電子図書館で調べてください。
(左が『特許番号』で、右側が『発明の名称』です)
特許3964817 釣り用バケツ
特許3839151 釣り用バケツ
特許3795214 釣り用バケツ
特許3790714 釣り用バケツ
特許3762682 釣り用バケツ
特許3742739 コマセ切りボード及び餌バケツ
特許3741640 釣り用バケツ
特許3741636 釣り用バケツ
特許3736834 釣り用バケツ
特許3653453 釣用バケツ
特許3566718 釣竿保持具
特許3396625 釣り用バケツ
特許3345635 釣り用バケツ
特許3343673 釣り用バケツ
特許3247882 水汲みバケツ
特許3247881 水汲みバケツ
特許3247880 水汲みバケツ
特許2975952 釣り用の撒き餌バケツ
特許2955471 バケツ
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