特許制度の基本について・・・! その1

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    特許制度の基本について・・・! その1
 2007.6.12. bR7 非まじめ発創塾 坂井 徳栄
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 非まじめ塾の坂井です。

 今日も お読みいただきまして有り難うございます。
 ご質問や感想もいただけると、ハゲミになります。
 ゼヒ、送ってください。





 今回は、チョッと堅苦しい題名で『特許制度の基本について・・・!』

 この記事は、日本弁理士会から今年の4月に会員の弁理士に送られた資料
   『知的財産制度(基本事項)についての説明【例】』
   を元に書きましたが、そのまま記事にすると著作権に触れますので、
   私流に加工してあります。

 弁理士は、特許出願のプロなのに、改めてこんな書類を送る必要があるのか
と、思えることまで書いてありますが、その理由は、
   特許に詳しくない中小企業や民間の人から出願の依頼を受けるときは
   ここまで説明してあげなさい、
と言う主旨でしょう。

 プロは、「分りきったこと」と説明しないことがあるからでしょうね。
 その一例が、保険の説明書きですね。
 5ポイントくらいの虫眼鏡でも持ち出さないと、読めないような小さな
文字で書かれた保険契約時についてくる説明書き、
 いったい誰が読むんでしょうかねぇ〜???

 とは言うものの、私も、自戒しなくっちゃ・・・!


 それは、ともかく、分りやすく書き直したつもりですが、私の文章力の不足
から十分ご理解いただける文章になったかどうか?
   あなたの判断にお任せします。

 特許出願で損をしたくない人は、最後まで読んでください。





 前置きは、ここまで、本文に入ります。


A−1 特許権を取るには、何が必要か?

(1) 特許権が取れるアイデア・発明の条件

1.規則にしたがった様式にあった形式(書式)で出願する。
 これこそ当り前ですね。
 書式が違っていると、【不受理】と言う赤いハンコウが押されて
受付けてくれないんですから・・・油断できません。


2.発明が、自然法則を利用した技術思想であることが必要です。
 ここで、自然法則を利用したということは、1+1=2とか、3×4=12
のような数式は、自然法則ではなく、人間の取決めだからだめだと言うこと
です。

 また、技術思想と言っていますから、姿形ではなく、考え方です。

 前に取上げましたが、「底に穴を開けた杯」、こんな簡単な物でも、従来は
なかった考え方すなわち思想ですから権利になったのでしたね。


3.産業上利用できること
 産業界で製造できるものでなければなりません。たとえば、「高さ1mの
地球温暖化対策用防波堤を日本の全海岸線に添って張りめぐらす」と言う
特許出願があったらどうなるでしょうか?

 高さ1mなら可能なように思われますが、日本中の海岸となるとどうで
しょうか?
もしできたとしても10m以上の津波がやってきたら1mの防波堤では、
瞬時に決壊しますから現在の日本の国力、技術力では、補修が不可能で
しょうね。

 2050年には、海面が今より50〜60cmくらい高くなり、皇居の
東側はもちろん、埼玉の越谷あたりまで水没するとのことですから大変な
効果が見込めますが・・・・?

 世界一の美女(本人言)天童よしみさんが、『珍島物語』で『海が割れる
のよ〜♪〜〜〜』と、歌っていますが、海が割れるのではなく、海が迫って
くる、押し寄せてくるのです。世界中の海が、世界中の海岸に・・・!

 必要は、発明の母とも言います、できたらいいな、できたらね!

 これは、まさに夢想で、夢物語、ということで産業上利用できないとして
【拒絶】されることでしょうね。

 でも、書式がそろっていれば、【不受理処分】されずに、1年半後には、
公報に載り、もしかすると、マスコミが取上げ、【一躍、時の人】になるかも
知れませんね?

 物好きな人いませんか?????

 弁理士は、誰も受けてくれないでしょうし、私の所属する特許事務所でも
受けられません。

 有料で私が明細書を書くと、弁理士法違反ですから無料で書いてあげます。

 ただし、原稿をあなたに差し上げますから、ご自分で出願して下さい。

 私も、檻の中に入るのはイヤですからね。


4.新規性といって新しいこと
 特許出願するときに、世界(日本ではありません)の何所にもなく、世界
中の誰にも知られていない発明であること。

 日本の特許公報に載っていないだけではダメなんです。
 世界中の特許公報に載っていないだけでもダメなんです。

 世界中の刊行物(特許公報、新聞・雑誌、カタログ、広報誌紙、研究論文、
・・・・・ウェーブ等)に掲載されていれば、例え誰一人見た人がいなくても
ダメなんです。

 でも、特許庁の調査で発見されなければ、特許権になります。

 しかし、誰かが調べて、刊行物に乗っていた証拠を出してくると、一旦特許
権が取れたものでも、拒絶査定に切り替わる可能性だって有ることを承知して
おいた方が良いですね。



(2) 出願前の技術調査は必ずやろう

 特許出願する前に、少なくとも『特許電子図書館』で先願を調べましょう。
 これをしないで拒絶されたら出願費用と・審査請求費用とで50万円内外の
経費がムダになります

 場合によっては、特許調査してないだけで拒絶されたり、中小企業対象の
優遇策が、利用できなくなることも考えられます。

 特許調査で、先願がなければ、更に内容を深めて良い出願内容にすること
だってできますよね。


(3) 特許出願を弁理士に依頼すると

 弁理士は、出願人の説明を本に願書、特許請求の範囲、明細書、必要に応じ
図面、要約書を書面としてまとめ、特許出願します。

 弁理士によっては、出願原稿も見せないで出願する人もいるようですが、
出願前に必ず出願原稿をチェックし、説明した特許出願の内容が、キチンと
書かれているかを確認しましょう。

 弁理士は、特許出願のプロですが、神様ではありませんから出願人から説明を
受けた範囲でしか明細書は書けません。

 サンプルと図面を出して、説明もソコソコでは、弁理士も書きようがありま
せんから出願人の意向が反映されない出願になりかねません。

 私が見たものの中で、「手袋の出願」を依頼したA氏の明細書には、
「靴下」が書かれたヒドイものがありました。

 これは、出願人が、発明の内容を十分説明していない『丸投げ出願』で
したが、もっとヒドイ出願は、の書式さえできておらず、請求項も、詳細な
説明も、デタラメで、特許庁からの補正命令さえ放置された高名な弁理士が
代理人となった出願もありました。


 特許出願で、もう一つ承知しておいて頂きたいことを書きましょう。

 特急で出願する場合、発明相談だけで出願に至らない場合、出願原稿を
書いた後で出願を中止されたり、新しい内容の追加書き込みを要求された場合、
などは、割り増しの料金が請求されます。

 と言うことは、特許出願を依頼するときに、出願内容を十分説明する必要が
ある、と言うことです。



(4) 国内優先権出願制度
 2ヶ月前の4月3日の『非まじめ・メールマガ bR2』、『知っ得特許で
マネられない特許権 その5(フロク号)』でもお知らせした制度です。

 特許出願(基礎出願)後、1年以内に新たな内容を書き加えて出願する
ことができます。

 普通特許出願は、出願後新しいことを書き加えると『新規事項追加禁止』
と言う規定で拒絶されますが、この国内優先権出願制度を使えば、堂々と
新規事項を書き込める上に、出願日の遡及といって後で出した優先権出願の
出願日が基礎出願の日に出願されたものとして扱われるのです。

 これは、美味しい制度ですよ。
 ドンドン、ジャンジャカ・・・利用しましょう。

 例えば、発明が、未完成で、本来なら出願すると『未完成発明として拒絶』
される内容の発明を、あたかも発明が完成しているような書き方で出願し、
出願後、10ヶ月くらいまでに発明を完成させ、全体を1本の整合性の取れた
発明に書き改めて出願しなおすのです。

 もし、1年以内に出願できなかったら、強いて基礎出願を取り下げた上で、
改めて出願しなおすと言う奥の手だってつかえるのです。

 この国内優先権出願制度を利用すると、強い特許権を取るための出願内容の
補強・強化を始め、様々なメリットがありますから弁理士とよく相談して下さい。


(5) 特許出願公開制度とはなんだ?

 特許出願した発明は、出願した日から18ヶ月(1年半)過ぎると、無条件で
自動的に公開されます。

 特許電子図書館(http://www.ipdl.inpit.go.jp/homepg.ipdl)で誰でも見れる
ようになるということですからモノマネするヤカラは、ここから公報を見て
『特許の落し穴』を探したり、チョッと形を変えてマネルわけですから、出願人
にとっては、頭の痛い問題です。

 しかしながら、この出願公開によって補償金請求権と言って特許権が取れると
模倣者に対し賠償請求権が発生しますから模倣者が出てきたら専門家に即時に
相談すると良いでしょう。


(6) 審査請求制度

 特許出願しても自動的に審査されるわけではありません。

 審査請求しないと、その出願は自動的に取下げたものとみなされ、特許権を
取れなくなりますからご注意下さい。
 『みなされる』と言うことは、出願人の意思を無視して『強制的に取下げ
させてしまう』と言う意味ですからこわい規定です。

 審査請求は、出願から3年以内の好きな日に審査請求できますが、特許庁から
『審査請求期限が迫っていますよ』と言う連絡は、一切ありません。

 弁理士から出願したものは、弁理士がこの期限を管理して1ヶ月から6ヶ月
前に連絡をよこします。

 でも、出願後、住所が移動した場合、住所変更の手続をしないと、弁理士も
連絡の取り様がなくなりますからこの点もご注意願います。


 今ひとつ、審査請求制度で注意していただきたいことがあります。

 それは、審査請求するには、約20万円の特許印紙を貼らなければなり
ません。

 中小企業や個人にとって、約20万円の金は、決して安い金額では
ありませんから慎重に考えて下さい。

 たとえば、3年近くたっても、売れる見込みが立たなかったり、すでに
販売を中止したような場合は、審査請求をしないほうが良いでしょう。

 審査請求をするか、しないかは、出願人の自由意志に任されています。
 審査請求の判断基準は、経済的な採算合理性におくべきですから、出願と
同時に審査請求するのは、得策といえないでしょう。


(7) 拒絶理由通知

 あなたが、一番気になる『拒絶理由通知』です。

 審査請求すると、必ず1回は、『拒絶理由通知』がくるものと思っていて
下さい。

 逆に、1回も『拒絶理由通知』が来ないのは、特許権があまり強くないと
思ったほうが良いかもしれませんよ。

 と言うのは、ガンジガラメの権利範囲の狭い、モノマネされやすい、モノ
マネされても文句を言えない弱い特許権が取れた可能性があるからです。

 この例は、無料レポート『特許の落し穴』にも書きましたから参考にして
下さい。

 審査官が、『拒絶理由通知』を出す理由は、単に他社の特許出願に似た物が
あったが、出願人がこの出願と出願人の出した出願の違いをどう考えるか?
について、意見を求めてくる場合が多いのです。

 けっして、『拒絶査定』するために『拒絶理由通知』を出すのではないという
ことです。

 引用例(他社の出願)が、5本も、10本もきたからもうだめだ、と簡単に
諦めないで下さい。

 前に、『非まじめ・メルマガ』でも取上げた『電子媒体(CD)収納棚』は、
NECを始め大企業の数本の出願を引用例にして『拒絶理由通知』がきまし
たが、『意見書』をていねいに書き『補正書』はソコソコに修正で、ほとんど
権利範囲を狭めずに特許権を獲得しました。

 この例でもお分かりのように『拒絶理由通知』をこわがる必要がないのです。

 ただし、『拒絶理由通知』がきたら、『意見書』と『補正書』を出せる期間に
制限がありますので、あんまりのんびりしていると、期限切れで『拒絶査定』
されてしまいますからご注意願います。

 『意見書』と『補正書』を提出しても審査官が納得しないと『拒絶査定』に
なります。

 また、弁理士が、『意見書』と『補正書』を書くと、10万円以上の請求して
きます。
 それだけに、『意見書』と『補正書』の書き方は、生易しいものではない、
と言うことです。


(8) 不服審判請求

 『意見書』と『補正書』を提出しても意見が認められず、『拒絶査定』に
なった場合でも、逆に、出願人が『拒絶査定』に納得できない場合は、経費が
掛りますが、特許庁に『拒絶査定不服審判』を請求できます。

 『不服審判』の最終判断である『審決』に納得できなければ、特許庁長官を
被告人として東京高等裁判所に訴えることもできます。

 さらに、東京高等裁判所で負けても、まだ最高裁判所という手がありますよ。


(9) 特許査定

 さあ、審査官の審査に合格すると、晴れて『特許査定』です。

 『特許査定』された後は、第1年から第3年分まで一括して『特許料』を
納めると、初めて特許登録されるのです。

 『特許査定』されたと喜んでいても、『特許料』を納めるまでは、特許登録
されませんし、特許登録されなければ特許権が取れたことにならないのですから
ご注意願います。


(10) 特許年金

 特許登録された後の4年目以降の特許年金を納め続けないと、特許権は自動的
に消滅と言ってなくなってしまいますからご注意願います。

 何らかの理由で特許権がいらなくなったときは、それでも良いのですが、
売れ続けている商品の特許年金は注意して年金を管理いたしましょう。



 これでA−1は、終りました。
 引き続きA−2に入りたいのですが、長くなりすぎですね。

 『A−2 他社の特許権獲得阻止と防衛』
 経済界は、【生きるか死ぬか】ではなく、
      【生き残るか殺すか】の経済戦争ですから生易しくありません。

 次回も、ご期待下さい。


■■■ ポイント ■■■

● 特許は、出願から始まる・・・???
  いいえ、特許は、弁理士に出願依頼する前の
      【出願準備】が命です。

  イヤ、十分に、十二分に・・・十五分に、ご注意下さい!

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【あとがき】

 いやぁ〜! 中々分りやすく書くことはムツカシイですね。

 分りやすく、分り易く、と思って書いているうちにこんなに長くなって
しまいました。

 今回の【非まじめ・メルマガ】も2つくらいに分けたほうが良かったので
しょうか?

 何時も、お前にメルマガは、長すぎて困る、とお思いの方は、
メールを下さい。

 今後の書き方の参考にさせていただきますから・・・!



 最後までお読みいただきまして、本当に有り難うございました。

 次回も、あなたに役立つ非まじめ・メルマガを提供します。

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発行責任者:坂井 徳栄  himajime@apost.plala.or.jp
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