ホワイトボ−ドをヒントに電子媒体(CD)用棚開発

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 ホワイトボ−ドをヒントに電子媒体(CD)用棚開発
 2007.5.16. bR5 非まじめ発創塾 坂井 徳栄
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 非まじめ塾の坂井です。

 今日も お読みいただきまして有り難うございます。
 ご質問や感想もいただけると、ハゲミになります。
 ゼヒ、送ってください。



 昨15日、夜7時頃、外出から帰ってみたら、ADSLのモデムの
DATAが赤ランプが付きっぱなし。

 何じゃ、これはと、モデムのコンセントを抜いて挿し直してもダメ。
 モデムの故障かと思い、NTTに電話してもつながりません。
 モデムが直らないと、この『非まじめ・メルマガ』が配信できません。

 それではと、近くの公衆電話に走ったのですが、公衆電話から、
0091−9233へは、かけられません。

 必死です。

 近くの親戚に走り、電話をかけたのですが、これもダメ。
 0091−9233はもちろん、104も故障係も全てダメ。

 途方にくれていたところに、9時のニュースです。
 NTT東日本の機器の故障でTP電話、インターネット、光通信も
全てつながらないとのこと。
 どんなにジタバタしても、どうにもならんわけですね・・・!

 今朝になっても復旧せず、ようやく復旧したのが10時過ぎ。
 日常業務に追われ、『非まじめ・メルマガ』が配信が、こんな時間になりました。

 たまには、早めに配信したかったのですが、悔しいです。





 5月、気温差の激しい5月です。
 一気に夏日到来で、55〜6キロの瘠せたトドが誰もいないことを幸いと、部屋の中で一人パンツ一丁でノタ打ちまわっていました。

 夏日の翌日は気温が10度以上下がって雨と風。
 温度差が激しすぎますね!





 さてさて、今日の題材は、
   『ホワイトボ−ドをヒントに電子媒体(CD)用棚開発』

 この『電子媒体用棚』は、お客様の試作品を見て、急きょ平成10年暮れのクリスマスイブに出願したものです。

 翌11年正月、出願人が、新規客開拓のためサンプルをお見せしたあるお客さんは、
  同様の商品を数十台のサンプルを東南アジアでつくらせ、
  2月発売の準備中でした。
 このお客さんは、まさかこれで特許権が取れなかろうと、出願もせずに発売準備をしていたのですから大あわてです。

 『電子媒体用棚』の出願人は、既に前年の暮れに出願していたのでホッとしていました。


 出願人は、社長以下総勢30人、新規のお客さんの規模は数百人の通販大手、規模の格差はいかんともしがたい状態です。

 出願はしても、まだ特許権の取れていない商品ですから、この規模のお客さんと取引を始めるのは、簡単に行きません。
 この通販業者は、『入荷済みの数十台の販売に目をつむってくれれば、
即座に取引口座を開設し、その後の販売は全て出願人の商品記切替える』と、申し出てくれたのです。
 その上に、『その他の商品の販売にも協力する』と言う念書までくれたのです。

 普通なら、こんなことはあり得ませんよね。
 あり得ないことが、「特許出願」一つで起きたのです。
 この上、特許権が取れたら言うことがないですね。

 あなたならこの通販会社と、同関係を結びますか・・・???
 もちろん、『入荷済みの数十台の販売に目をつむり』ますよね。

 サ〜テ、ここまできたら『審査請求』するしかありません。



 平成10年12月、特許願し、秋口までに売り上げも順調です。
 平成11年2月、出願審査請求書を出しました。

 平成11年10月、拒絶理由通知書が送られてきました。
 ここで、出願時の請求項を書いておきましょう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 多数の電子媒体を載置可能な棚板を有する電子媒体用棚であって、
 その棚板上に電子媒体の正面を棚の前方に向って載置可能に係止する係止部材を備えていることを特徴とする電子媒体用棚。

 この文面だけでは、分り難いでしょうから説明します。
 棚板の前端に断面が『コ状の溝』をつくり、この溝に電子媒体(CD)の一端をはめ込む電子媒体用棚という意味です。

 簡単でしょう。
 ホワイトボードの筆記具やボード消しを乗せる前端の溝を持つ棚です。
 棚ですから当然溝の奥には、CDを保管できます。
 これだけ簡単な構造のモノでしかありませんから先願の引用例が多数来ると思っていました。

 来ましたねぇ〜! たっぷりと!
 見ただけで、ゾ〜ッとしましたね。
 見て下さい。NECなど大企業の出願を含めてなんと、12本。

 この12本の引用例全てをクリアーする『意見書』を書いて、
さらに、明細書の中からこの12本の引用例に書いてない構成を拾い上げ、この構成を使った『請求項』に修正しなければならないのです。
 それも、60日以内に提出しないと『拒絶査定』されるのですから大変です。

 当然、書き方が悪ければ、『拒絶査定』されるのです。


 発送日、平11.10.26日の拒絶理由通知に書かれた引用例です。
 引用文献名称
   29条2項 特開平 9-294642号公報
   29条2項 特開平 8-117043号公報
   29条2項 実開平 7-39597号公報
   29条2項 実開昭 62-29159号公報
   29条2項 実開昭 47-3696号公報
   29条2項 実開昭 54-175318号公報
   29条2項 実開昭 49-55008号公報
   29条2項 実開昭 59-106468号公報
   29条2項 実開昭 62-68636号公報
   29条2項 実公昭 41-19001号公報
   29条2項 実公昭 39-12357号公報
   29条2項 実開昭 64-35068号公報

 全てが、29条2項違反と言うことです。
 ・・・審査官は、引用例の公報から容易に考えられると考えた・・・


 この12本の引用例に逐一反論した意見書を平11.11.22日に差出しました。
 もちろん、手続補正書も同日日付で差し出しましたが、審査官はまだ納得してくれず、平12.9.26日、2回目の拒絶理由通知書発送です。
 ・・・今は、1回目の拒絶理由通知書に対する意見書と手続補正書に納得しないと、即、拒絶査定されてしまいます・・・

 拒絶理由は、前回と同様第29条第1項等です。
 1回目の意見書と手続補正書に納得してくれなかったのです。

 当然、2回目の意見書と手続補正書の提出です(平12.10.18)。
 拒絶査定は、嫌ですから請求項を書き換えて権利範囲を狭めるしかありません。
 どこまで狭めるか。
 狭めすぎれば権利が弱くなる。
 これを見極め、最小限の狭め方で特許権を取りたいものです。


 ついに、平13.3.13日付で登録査定を獲得いたしました。
 平13.3.22日、登録料納付。
 平成13年4月20日、特許権として登録されました。

 特許番号は、特許第3180189号です。





 ところで、この特許権、出願時と、登録時でどう変わったでしょうか?
 興味がおありでしたら特許電子図書館で!
   ・・・・なんていう意地悪はなしです。

    
特許出願時の請求項
   【特許請求の範囲】
   【請求項1】 多数の電子媒体を載置可能な棚板を有する
   電子媒体用棚であって、
    その棚板上に電子媒体の正面を棚の前方に向って載置
   可能に係止する係止部材を備えていることを特徴とする
   電子媒体用棚。


特許登録時の請求項
   【特許請求の範囲】
   【請求項1】 多数の電子媒体を所定の基準で整理し、
   電子媒体の正面を棚板の長手方向に向けて直列状に載置
   可能に形成された平板な棚板を有する電子媒体用棚で
   あって、
    その棚板上に載置した多数の電子媒体のうちの少数の
   電子媒体をサンプルとして正面を棚の前方に向って立てた
   状態で載置すると共に、棚板の長手方向に摺動可能に係止
   するため棚板の前端部上面略全体に形成され、
   電子媒体の外周の一辺を嵌合或ははめ込み可能な係止部材
   としての溝を備えている
   ことを特徴とする電子媒体用棚。

 特許出願時と特許登録時の請求項の違いは、アンダーラインの部分があるかないかです。
 (特許電子図書館では、1回目の手続補正が省略されている)


 先ず始に分節してみましょう。
 1) 多数の電子媒体を所定の基準で整理し、電子媒体の
   正面を棚板の長手方向に向けて直列状に載置可能に
   形成された平板な棚板を有する電子媒体用棚であって、

 2) その棚板上に載置した多数の電子媒体のうちの
   少数の電子媒体をサンプルとして正面を棚の前方に
   向って立てた状態で載置すると共に、

 3) 棚板の長手方向に摺動可能に係止するため棚板の
   前端部上面略全体に形成され、電子媒体の外周の一辺を
   嵌合或ははめ込み可能な係止部材としての溝を備えている

 4) ことを特徴とする電子媒体用棚。

 問題になるのは、1)〜3)のアンダーラインの所の意味で、4)は問題ないですね。



 それでは、先ず1)からを検討してみましょう。
 1) 多数の電子媒体を所定の基準で整理し、
   電子媒体の正面を棚板の長手方向に向けて直列状に
   載置可能に形成された平板な棚板を有する
   電子媒体用棚であって、

 『所定の基準で整理し』とは、どんな基準でしょうか?
 極論すると、この電子媒体用棚を使う人が、それぞれの考えにしたがって決めても良いわけですから基準があって、基準がない、即ち、制限がないということです。

 『電子媒体の正面を棚板の長手方向に向けて直列状に載置可能に形成された(溝を有する)平板な棚板』についてですが、この)内の5文字が抜けていました。
 審査官も神様でないからこれを見落としていたようです。
 (個人出願なので承知で見過ごしてくれたのかもしれません?)。

 今の時点で考えると、この部分は、出願当初の
  『多数の電子媒体を載置可能な棚板を有する電子媒体用棚で
   あって』
 の方が良かったですね。

 それはともかく、この部分の意味は、
  『電子媒体の正面を棚板の長手方向に向けて直列状に
  並べられる溝をする有る平らな棚板』
 ということです。

 溝に数値制限がありませんから
  2個以上の電子媒体を直列状に並べられる1本以上の溝が
 あれば良いと言うことです。


 2) その棚板上に載置した多数の電子媒体のうちの少数の
   電子媒体を
   サンプルとして正面を棚の前方に向って立てた状態で
   載置すると共に、

 『載置した多数の電子媒体のうちの少数の電子媒体をサンプルとして』について検討してみましょう。

 出願当初の文面は『その棚板上に電子媒体の正面を棚の前方に向って』ですから
 デザインの施された電子媒体の正面が棚の前方に向っていれば良いのです。

 これに対し、アンダーラインを付けた方は、
  棚板上に載置した多数の電子媒体のうちの一部の電子媒体をサンプル
  として正面を棚の前方に向って立てることができれば良い
と言うことですから実質的に制限が加えられていないことになりますね。

 何のためにこんなことをしたかと言いますとこの請求項を読んだ人に、
  如何にも補正により権利範囲を狭めたように見せるため
なんですね。

 特許に詳しくない模倣者を惑わすことが目的なんですから審査官もお見通しだと思いますがね。


 3) 棚板の長手方向に摺動可能に係止するため棚板の前端部
    上面略全体に形成され、電子媒体の外周の一辺を嵌合
    或ははめ込み可能な係止部材としての溝を備えている

 さぁ〜て、いよいよ最後のアンダーライン3)です。
 『棚板の前端部上面略全体に形成され』ですが、ここでも『略全体』はない方が良かったですね。

 『略全体』は、『棚板の前端部』の一部になかったとしても権利範囲に含まれますが、半分以上なかったり、一部にのみ形成されている場合は、権利から逃れられます。
 したがって、単に『棚板の前端部上面に形成され』の方が良かったですね。

 次にアンダーラインの後半『電子媒体の外周の一辺を嵌合或ははめ込み可能な係止部材としての溝』です。

 先ず『電子媒体の外周の一辺を嵌合或ははめ込み可能な』について説明しましょう。

 電子媒体用棚の目的は、カラフルにデザインされた電子媒体の正面を棚の前方に向けることにより設置した部屋の雰囲気を明るくすることが目的の一つです。

 したがって、棚にセットした電子媒体の正面のほぼ全体が見えなければ無意味ですから『電子媒体の下方の外周』だけを差込めれば良いわけです。
 逆に『ほぼ全体』が見えなければ目的を達することができません。
 しかし、使用する人によっては、例えば『電子媒体の下方でなく、側辺や上辺の一部』を隠したいときもあるでしょう。

 と言うことになると、『電子媒体の外周の一辺』さえはめ込めれば、目的を達成できるわけです。

 と言ったわけで『電子媒体の外周の一辺を嵌合或ははめ込み可能な』としたのです。


 次に、なぜ『係止部材としての溝』としたかと言いますと、
  実施例で『溝以外の係止部材』について
  全く説明していなかったのですから、
  他の係止部材について主張したところで、
  もし裁判で争うことになると、負けてしまい敗訴と言う
  汚名が付くことになるでしょう。

 それなら最初から『溝』に限定した方が明確になる、と考えた結果です。

 審査官からも指摘されないで済むことになりますからね。


 私でさえ、請求項の一言半句にこれだけ神経を使っているのです。
 国家資格を持った弁理士は、資格保持者と言う自己の名誉のために、もっともっと神経を使っておられることでしょうね。

 私がこれだけ神経を使った上で、私のバックに控えている有能な弁理士が、更に神経を使ってチェックしてくれていますから、私も安心です。
 先生、有難う!


■■■ ポイント ■■■

● 特許出願は、請求項の一言半句が決めてです。

● しかしながら、実施例がお粗末では、
  請求項の一言半句も死んでしまう。

● 出願人は、多彩な実施例を検討した上で、
  マネられたら困る実施例をピックアップして
  少なくとも2〜3個の実施例を弁理士に詳細に伝えよう。
  詳細に伝えるのであって、丸投げは、
    決してやってはいけません。

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 最後までお読みいただきまして、本当に有り難うございました。



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