『絡まない傘立て』は こうやって出願した !

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   『絡まない傘立て』は こうやって出願した !
 2006.11.21. bQ0 非まじめ発創塾 坂井 徳栄
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 お知らせ

☆★☆ 「まぐまぐ・メルマガ」第4号 11月14日配信 ☆★☆

 第4号の題材は、★  ナゼ特許調査が必要か?  ★ でした。
 ご覧になっていない方は、
  ⇒ http://www.mag2.com/m/0000209589.html
から是非見てください。



 書き出しは、こんな具合です。

・・・<引用開始>・・・

★★★ 社長さん  特許調査 しましたか ? ★★★


社長:俺は、30年もこの業界で飯を食ってきたが、
   こんな商品、見たことも聞いたこともないから
   経費のかかる特許調査なんかしなくても良い!

坂井:ホントに良いんですか?
   社長さん、山伝製作所の山田社長さんから聞いておられるでしょう。
   山田社長さんも、同じようなことを言っておられたんですよ。

社長:なに、あの山田さんのところの商品、似た特許出願だけで60件近く
   あったってホントなの?

坂井:もちろん、ホントですよ! 私も驚きました!
   でも、先願の特許出願だけで60件近くもあったから良かったんです。
   その中には、商品開発のヒントが沢〜山埋もれていたんですから。

社長:なに、ヒントが埋もれている?
   それ、どういうこと・・・?

坂井:社長さんは、あの商品良くご存知だから話しますが、あの商品は、
   ネジの位置を移動できますよね。
   先願にはネジそのものが書いてあるんですが、全て固定されたネジ
   だったんです。
   そこで私は、『このネジ、移動式にできませんか?』と言ったんですよ。
   『移動式ネジ』の一言で、アレだけの商品を開発なさったんです。



   特許調査を無視するな。
   先願の特許資料は、ヒントの宝庫、新商品開発の登山口!

・・・<引用終了>・・・



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 さて、今日の本題です。
 題材は、私が平3年12月26日に特許出願し、翌年の平成4年2月26日
優先権を主張(*)して再度出願した「絡まない傘立て」です。
 ・・・特開平5−228047号・・・

 ※ 優先権主張:パリ条約で定められた制度で、外国出願や日本出願を基に
  1年以内に優先出願をすると最初に出願した出願日に出願したものと認め
  られる制度です。



 この出願の「絡まない傘立て」は、三条市の零細企業:M社の要請で
開発したものですが、販売力のないM社には、ほとんど売れませんでした。


 当時、私は特許の勉強を始めたばかりで、明細書の書き方も下手なうえに、
電子図書館という特許調査手段もないため無謀にもブッツケ本番で特許出願
しました。


 この出願で特許権が取れるかどうかの目処さえ立っておりませんでした。


 振返ってみると、本当に恥かしい出願ですが、特許調査なしでも何とか
特許権を取ってやろうと言う意気込みで、思い切り実施例を加えました。

 図を書いた実施例が、なんと26個です。



 この出願からは、特許権を取るための実施例の増やし方を読み取って
いただければと思います。

 また、発想がユニークなアイデアの場合は、そのまま強くて広い特許権の
取り方として生かせます。





 先ず始めに【請求項1】です。

 【請求項1】 1以上の筒を有する絡まない傘立て

 傘を挿入する筒が1つでもあったら権利だと主張しているのですから無謀と
思えるほど広い請求範囲です。

 どうか拒絶理由通知を出してください、と言わんばかりですね。

 特許調査しておれば、こんな無謀な請求項の書き方をしませんし、発想の
段階からモットモット焦点を絞ったことでしょう。

 26個の実施例中18個は「筒」関連ですが、この18個の筒の例をわずか
16文字で無謀そのものですね。
 ・・・ 筒の詳細は、後で触れます ・・・



 次は、【請求項2】です。

 【請求項2】 柵又は格子により形成する複数の天板、又は孔を孔設した
       複数の天板を有する絡まない傘立て

 【請求項2】は、筒の代りに天板を格子にしたり、天板に複数の孔を設けても
筒の場合と同様の目的を果たせる「絡まない傘立て」が得られる例です。



 続いて【請求項3】です。

 【請求項3】 挟持又は挿入部を有する絡まない傘立て

 同じ「絡まない傘立て」で、筒や天板以外に傘を両側から挟さんだり
はめ込むこともできます。



 この1〜3の3つの請求項の共通点は、もうお分かりですね。

 そう、1台の傘立てに多数の傘を差込むとき、既に差込まれている傘を
傷めたり、先に差込まれた傘を先に引抜くとき、他の傘と絡んで引き抜き
つらいものですが、このような不具合を解消することが目的です。



 ある雨降りの日の会合で、入り口の乱雑な傘たてを見て
   「この乱雑な傘立てを何とかならないかな〜!」
と思いました。

 それからと言うもの、買い物に行っても、飲み屋に行っても、どこへ
行っても、入り口の傘立てが気になってしょうがありません。



 しかしながら、「何とかならんか?」と見ているだけでは、解決策は生まれ
ませんでした。



 そんなある日、「傘は、なぜ絡むんだろう?」と思ってみていたら、
傘の胴体を巻くネームバンドが留められていないんですね。

 普通の傘立ては、差込口が1つしかありませんが、その差込口に
ネームバンドで留めてない多数の傘が、差込まれています。

 そのネームバンドで留めてない傘の布地はヒラヒラしておりますが、
ヒラヒラしている状態の布地に後から差込まれた傘の石突が差込まれ、
布地を傷つけるんですね。



 それジャ〜、みんながネームバンドをシッカリ留めればいいじゃないかと、
思うんですが、私を含めてそれをなかなかできないんです。

 石川五右衛門の「浜の真砂は尽きるとも、世に盗人の種は尽きまじ」では
ないですが、人間、皆がみんな、それを徹底することができないんです。





 さて、どうするか?

 ・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・



 傘の絡んだ傘立てを見て私は、こんなふうに考えてみました。


 それが、「絡まない傘立て」(特開平5−228047号)です。





 この目的を達成するためには、どんな形があるでしょうか?

 先ず最初に考えたのは、直径70mm程度で長さ50〜100mmの筒を
複数本並列することです。

 この太さの筒は2本の傘を差込むことができませんし、傘をネームバンドで
留めなくても、布地がヒラヒラすることがありません。



 先ず第1に、傘立ての1つの差込口に2本以上の傘を差込むから絡むのだ。
 1つの差込口に1本の傘しか差込めないようにすれば良いじゃないか。

 第2に、布地をヒラヒラさせたままの傘を傘立ての差込口に差込めるからだ。
 傘を差込むと、ヒラヒラした布地がすぼまるようにすれば解決するだろう。



 この第1、第2の条件を解決できる構造にどんなものがあるだろうか? と
考えた結果が、「並列した多数の筒」だったわけです(第1実施例)。

 第2実施例として、「並列した多数の筒」に脚とベースを取付けました。

 第3、第4実施例として、多角形の筒と、逆円錐台形の筒です。

 第5実施例は、チューブにしました。
 チューブなら製造コストを思い切り安くできますからね。


 だが、まだまだ方法があります。
 このチューブの説明に縦に切込みを設けた横断面C型、リングの積み重ね、
スパイラル状やコイルなどを加えました。



 それが、明細書の段落番号【0008】です。
 参考までに引用します。

 <引用開始> 【0008】図3以下により筒1の形状につき例示する。
筒1の形状は、図1,図2のように円筒形の筒1であっても良いが、
楕円筒形や三角や四角等の多角形筒(図3では六角形筒)、円錐台形筒
(図4)、チューブ状(図5)、断面C型(図6は円筒形、図7は四角筒形)、
断面()型(図8)等であっても良い。又、図9,図10のように短い筒の
積み重ねやリングを所定間隔で積み重ねたもの、或は図11のように複数の
リングを平らに並べて板状とし、その板状のリングを複数段に任意の間隔で
積み重ねたものであっても良い。更に、図12,図13のように筒1を
スパイラル状やコイル状とすることもできる。又、これらの筒1を形成するに
当たり、複数の棒等で形成しても良く、挿入する傘が何らかの形でそれぞれ
区画できる形状であれば、いかなる形状であっても良い。<引用終了>


 表現方法は色々ありますが、実施例のどこかにこのような但書きを入れる
ことにより実施例を書き込んだと同様の効果が得られます。
 利用なさってください。



 サァ、これで十分でしょうか?
 私には不満だったのです。

 そのために、図14で従来の傘立てに筒を加えたり、図15で下駄箱に
複数の筒を添えました。

 図16〜図20で二重にした格子状の天板や二重の天板に複数の孔を加えた
ものを図に書き説明しました。


 それが、【請求項2】です。

 【請求項2】 柵又は格子により形成する複数の天板、又は孔を孔設した
       複数の天板を有する絡まない傘立て



 それでもまだ私は、納得できませんでした。
 それが、明細書の図21〜ず24です。


 図21は、壁面に弾性体で作った2つの突起によりすぼめた傘を両側から
挟むようにした挟持部です。
 図22〜図24は、挟持部の代りに挿入部をつくったのです。

 これらの挟持部も挿入部も傘を1本筒しか差せない構造のものですが、
今読み返すと説明が不十分でした。



 しかし、今電子図書館で調べてもチューブを使った傘立ての出願は、
ありませんから、当時、キチンと特許調査してから特許出願すれば、
特許権が取れたことでしょう。


 こうやって10年以上前の出願を振返ってみると、やはり
     特許調査なしの特許出願は、ムダになりやすい、
と言うことが良く分ります。


 そして、出願しようとするアイデアと同じ目的で
     異なる構造(特許では構成と言います)の実施例を
     1つでも多く出願前に検討することの重要性を
再確認しました。

 また、このように実施例を多く書き、さらに、その実施例を丁寧に書いて
おくと、拒絶理由通知が来たときに楽なんですね。

 と言いますのは、実施例の中に拒絶理由になかった要素すなわち構成が
1つでもあると、その要素を請求項に書き込むことにより拒絶理由をクリアー
して特許権を取れる可能性が、格段に向上するからです。


 以上のことを実現するためには、
  先ず第一に、モノ・コトを『観る』ことから始め
  第二に、『目的を追求・展開する』こと
  第三に、『追求した目的を実現する手段を組合わせる』こと
の3つをどこまで徹底するかが、商品開発と特許権強化の基本です。


 この3つを徹底できれば、学者や理論家の言う小難しい『商品開発理論』
なしでも、素晴しい新商品を開発できるのです。

 あなたも
   モノ・コトを『観る』こと
   『目的を追求・展開する』こと
   『追求した目的を実現する手段を組合わせる』こと
の3つを徹底的にやってください。

 必ず素晴しい新商品を開発できます。
 ご希望があれば、私が応援させていただきます。



 と、言ったわけで今日は、ここまで。

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■■■ ポイント ■■■

● 新商品の開発と、特許権の強化に、
      小難しい開発理論は、いらない。

● モノ・コトを『観る』こと
  第二に、『目的を追求・展開する』こと
  第三に、『追求した目的を実現する手段を組合わせる』こと
 の3つをトコトン徹底すれば、素晴しい特許商品を開発できるし、
 強い特許権も得られます。

● 繰返します。
  あなたもモノ・コトは、先ず「観る」ことから始めましょう。
  『見て』いたのではダメなんです。
  「観」たら、「目的を追求・展開」し、
  「追求した目的を実現する別の手段を組合わせ」ましょう。
  これだけで、特許商品と強い特許権が得られるのです。

■■■■■■■■■■■■

 私は、『観る、観る教』の虜です。
 『見て』いるだけでは、何日たっても本質は『観え』ません。
 『観れ』ば、『観る』ほど、本質が『観え』てきます。

 『まじめ』だけでも、『観え』ません。
 もちろん、『不まじめ』では、何も『観え』ません。
 『まじめ』も『不まじめ』も乗越えて
      モノ・コトの本質を『えぐり出し』ましょう。

   新興宗教『観る、観る教』
   あなたを商品開発の『ワナ』から救い出します。
   あなたを『模倣のワナ』から救い出します。

 とうとう、坂井も宗教のワナに嵌まったのかな・・・???
 イヤイヤ、スパンメールのワナに嵌まりそうなんです・・・!!!





   宗教とスパンメールのワナに嵌まりそうな坂井の元気付けに、
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