減圧調理鍋・・・これが、非まじめ発創の出発点でした!

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  減圧調理鍋・・・これが、非まじめ発創の出発点でした!
 2006.10.23. bP8 非まじめ発創塾 坂井 徳栄
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 今晩は、非まじめ発創塾の坂井です。
 今日もお読みいただいて感謝感激!

 今日のタイトル
 世にもユニークな『減圧調理鍋』
 圧力鍋の間違いじゃないんです!

 この『減圧調理鍋』が、私の
    原点発創 ⇒ 非まじめ発創
の出発点だったのです。



 話がチョッと飛びますが、製造業に付き物の『部品洗浄工程』には、
劇薬のトリクレンなどによる方法がありますが、今日は、水による洗浄を
枕に使います。

 友人のY氏の工場には、アルカリ液で処理した部品を洗浄するための
大きな洗浄槽には水が並々と張られています。

 Y氏の同業者は、洗浄槽が汚れると洗浄できないため大量の水を補給し
ながら部品を洗浄します。

 当然、大量の廃液が発生します。

 この大量の廃液を終末処理装置で中和処理した後、外部に流します。

 保健所の監視が厳しく、中和処理経費が膨大な上に、水道の消費量も
大変な金額になります。



 所が、Y氏の水の消費量は、同業者の1/10程度で、終末処理装置での
廃液の中和処理は、ほとんどしておりません。

 こんなこと、御社で考えられますか?

 洗浄槽への水の補給量は、蒸発した水の分だけなんですね。

 それでも保健所からクレームは付きません。



 なぜ、こんなことができるのか・・・???

 アルカリ液が付着した部品を洗浄すれば、洗浄層内の水はもう使えない
はずなんですがね・・・?


 どう見ても、洗浄槽への水の補給は、チョロチョロと補給されている
だけです。


 答えを聞けば、理由はいたって簡単なんです。
 保健所の検査も大威張りで合格です。
 井戸水も使わず、市の水道を使っていますが、盗水ではありません。

 答えは、Y氏の企業秘密、チョッと話せません。
 あなたが考えて、自社で実施してください。

 発想の大転換で、工場のランニングコストが激減し、
   ・・・粗利益じゃなくてマルマル純利益ですよ!


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 さあ〜、いよいよ、今日の本題です。
 これも発想の転換で、私が特許権を取った実例です。

 残念ながら、実施許諾した会社が、私の特許を理解できず、
       デザインに拘って機能不全の商品ができました。


 これが、今日のタイトルの『減圧調理鍋』です。

 この出願は、平成2年の暮れ近くの特許出願し、平成7年に公告された
ものです。

 調理用鍋と言うと一般には、常圧(1気圧)下で煮炊きする普通の鍋と、
高圧下で煮炊きする圧力鍋がありました。

 普通、業界内の開発者であれば、既存の普通の鍋か、圧力鍋の新製品を
考えるのですが、私は、鍋の業界の門外漢ですから鍋に対する拘りが全く
ありません。

 「おでん」のような一晩も二晩も時間をかけてクツクツ煮る料理を
どうやって短時間で煮ることができるか、にのみ拘っていました。



 あるとき『美味しかったおでん種』と『美味しくなかったおでん種』を
買ってきて、輪切りにして並べてみたのです。

 『美味しかったおでん種』は、おでん種の芯まで調味料の色が滲(し)み
ていましたが、『美味しくなかったおでん種』は、表面にだけ調味料の色が
付いていました。

 料理をする人や味に敏感な人にとっては、当たり前のことが、味音痴に
近い私には、この違いが新鮮に見えたのです。

 結果として、味音痴の特典ですね・・・?


 ンン・・・! この色の滲み込み方の違いは何なんだ?
 「おでん」を一晩も二晩も時間をかけて煮るのは、
   『味を芯まで滲み込ませるため』なんだな、と気づいたのです。

 この当たり前のことが、「減圧調理鍋」の発明につながったのですから
不思議な門です。

 味音痴ゆえに「調味料の色が滲み」を「見ず」に「観る」ことができた
のです。

 もし私が、味音痴でなかったらこの違いを見過ごしていたでしょうね。
 特許商品の開発は、
     「観たか、観ないか」で決まることに気づいた一瞬でした。


 「調味料の色が滲み」とは、なんだろう?

 「調味料の色が滲み」とは、「液体の調味料が、長時間の加熱により
調理素材の芯に浸透した」と言うことじゃないか。

 としたら、「液体の調味料に浸した調理素材を短時間の加熱により芯に
浸透させる」別の方法を考えればよい、と言うことです。



 この考え方が、私の「非まじめ発創」の原点なんです。
 「非まじめ発創」と名づける前は、「原点発創」と言っていました。

 知人は、これを「原発」と言ってくれましたが、「原発」ほど大きな
エネルギーはないでしょうが、商品開発の「原点」として十分使えました。


★ 「見る」 ⇒ 「観る」  「見て、観えず」
  「調味料の色が滲み」を「観た」のです。

★ 「目的追求」と「目的実現手段の新しい組合わせ」
  従来の目的:「調理素材の芯に液体の調味料を浸透させる」
  従来の手段:「調理素材を液体調味料のなかで長時間の加熱する」

  新しい目的:「調理素材の芯に液体の調味料を短時間に浸透させる」
  新しい手段:・・・ 後述 ・・・

 新旧の目的を見比べて、いや、観比べてください。
 違いは、「短時間に」の一言が加わっただけです。
 目的にわずか4文字の「短時間に」の一言が加わっただけで、
・・・・・ 「目的実現手段の新しい組合わせ」を見出せるのです。
 その組合せが、従来なかった考え方であれば、特許権が取れるのです。



 話を元に戻しましょう。

 もう一度「調理素材の芯に液体の調味料を浸透させる」ことの意味を
考えて見ましょう。

 「・・・芯に・・・浸透させる」と言うと、中学の理科で習った
「浸透圧」すなわち水銀柱や水柱の実験を思い出しませんか?

 あるいは、紙切れや布切れの一端を水につけると、その紙切れや布切れに
ドンドン水が浸透していきます。

 しかし、大根やじゃが芋などのおでん種を調味料につけてもそう簡単に
滲み込んでくれませんから加熱するわけですが、普通の鍋で加熱するという
ことは、1気圧の大気中で加熱していることですね。

 普通の鍋で1気圧下で加熱すると、これらのおでん種は比較的短時間で
食べ頃の軟らかさになるんですが、味は簡単に滲み込んでくれません。

 圧力鍋で加熱すると、1/3程度の時間で軟らかくなりますが、しかし、
味は滲み込んでくれないのです。

 これは、圧力鍋でさえも、浸透圧の作用が極めて弱いと言うことです。


 それならば、圧力鍋で長時間加熱したらどうなるでしょうか?

 おでん種が、軟らかくなり過ぎ、食感がなくなるばかりか、箸でつまめ
ないほどグチャグチャになってしまいます。

 これでは、おでんじゃなく、水分を多くすればスープになっちゃいます。

 スプーンで食べるおでんじゃ、駄洒落にもなりませんね!



 それでは、おでん種の芯に短時間で味を滲み込ませるには、どうするか?
ですね。

 おでん種と調味料の間に気圧の差を生じさせ、浸透圧を作用させる必要が
あるわけです。


 当然、おでん種の気圧より調味料の気圧が高くないと、おでん種に浸透圧が
生じません。

 おでん種一つ一つに減圧装置をつけるわけに参りません。

 さて、どうしたもんやら、〜〜〜散々迷いました。
 迷ったと言うより、打開策が思い浮かばないんです。


 あなたならどうしますか?



 散々迷った末に、ある物好きの集まりの雑談で
  「調理が終わった直後の鍋を
   ガムテープで密封して水に入れて冷やしたら美味しかった」
と言われたのです。

 この一言が、私にとって大きなヒントだったんです。

 そうか、おでん種一つ一つに減圧手段を取り付ける必要がないんだ。
 鍋の中を減圧すれば良いんだ。



 じゃあ〜、鍋の中を減圧するには、どんな方法があるだろう?

 当時、真空ポンプ(自転車の空気入れの逆止弁を逆方向につけたもの)と
言っても単に容器内を減圧するだけの浅漬け器具が売られていましたので、
その真空ポンプを鍋蓋に取付けてテストしてみました。

 大成功です。

 加熱調理する前、あるいは、後で調理鍋の中をこの真空ポンプを使って
減圧するだけでおでん種に浸透圧が作用し、おでん種に調味料が速やかに
浸透し、美味しくいただけるのです。





 これを平成2年の暮れ近くに特許出願したものが、次の請求項です。
 請求項の起こし方は、まだまだ下手糞でしたが、ご参考に。

【請求項1】調理用鍋の本体と通気孔を設けた蓋を着脱自在に気密状態にし、
当該蓋の通気孔に固着または着脱自在に設けた減圧装置を接続し、調理用鍋
内部を減圧することを特徴とした減圧調理鍋。


 当然1回目の拒絶理由通知がきました。
 (今でも、90%以上の拒絶理由通知がきますが、これは拒絶査定では
  なく、出願人の考えを明確にするためのもので、意見書と手続補正書を
  出せば、50%以上登録査定になります。)




 例に漏れず私も意見書と手続補正書を提出し、平成7年に特許公告され
ました。

 以下は、手続き補正した請求項です。どうぞご参考に!

【請求項1】鍋本体と、前記鍋本体を気密状に閉じる鍋蓋と、
 圧力低減装置を取付けるため前記鍋蓋に設けられた取付け口と、
 前記鍋蓋に取付けられ、該鍋蓋により気密状態とされた鍋本体内の圧力を
鍋本体外の気圧より低減させると共に低減された鍋本体内の圧力を保持する
圧力低減装置と、
 を有し、
 調理前或は調理後若しくは調理途上の調理用素材及び所望の調味料を収容し
前記鍋蓋により気密状態とされた前記鍋本体内の圧力を前記圧力低減装置に
より、低減された鍋本体内の圧力を保持することにより、上記調理用素材に
調味料の調味成分を浸透させることを特徴とする鍋。



 この「減圧調理鍋」を実施許諾しようと、方々に売り込みましたが、
なかなか買い手が見つかりません。

 そんな中で、関西の某大手デパートの若手担当者から問合せがあり、
これはもしかするとまとまるかもと、取らぬ狸の皮算用で私は嬉々として
対応しました。

 しかし、その担当者には、加熱調理の前あるいは後で調理鍋内を減圧する
と言う考えが、どうしても理解できないのです。

 富士山のような高山で葉、気圧が低いから加熱調理しても沸点が下がって
調理できないの一点張りです。

 どう説明してもダメなんです。

 私は、この脳梗塞(病気ではなく脳が硬いという意味)ヤロウ、と怒鳴り
たい思いで1時間くらい押し問答しました。

 あきれ果てて根負けしました。
 分らないのではなく、分ろうとしない若い担当者。
 これでは、このデパートは、大手と言えども新商品どころじゃないなと
中ばあきれて電話を切りました。

 この減圧調理鍋は、加熱調理の前あるいは後で、すなわち時間軸がズレて
いるのです。

 この時間軸のズレが理解できない人にとって、減圧調理鍋ほどバカな商品は
ないのです。



 幸い、地元の業者から声がかかったので、商品化できるだけでもいいや、
と言う気持ちで、安々と実施許諾してしまいました。

 と言ったわけで、地元の業者に実施許諾したのですが、発明の趣旨を理解
しないデザインを施した商品は、鍋本体と蓋の間の密封パッキンの使い方が
悪く、減圧効果を十分発揮できないため販売が伸びず、2年後には製造打ち
切りとなりました。

 15図もつけて、実施例も多数書き込み、かなり広い権利だったのです。
 しかし、今思うと大変残念で悔しいのは、多様化した実施例であっても、
真空ポンプの多様化であって、圧力低減装置の多様化でなかったことです。

 真空ポンプの多様化は、あくまでも真空ポンプを使った減圧調理鍋の権利
に過ぎません。

 密封した調理鍋内の気圧を下げる手段すなわち圧力低減装置には、どんな
ものが考えられるかを検討すれば、シロッコファンを使った圧力低減装置も
考えられたはずです。

 同じ圧力低減装置であっても、異質の圧力低減装置を実施例に書き込めば、
特許権の権利範囲が、格段に広がるのです。

 その後、松下、タイガー、象印を始め、様々な起業からこの商品を
応用したと思われる特許出願が見られました。

 これは、歴史と一緒で、あり得ないことですが、
   もし私が、異質の圧力低減装置を実施例に書き込んでいたら
意外な展開になっていたかもしれません。


 ホントに特許にも、「もしも」はあり得ないのですが、今一つ気になる
ことがあります。


 それは、一般に商品開発は、他人の特許や商品の延長線上で開発され、
その結果、二番せんじのワナに陥ることです。

 二番せんじの新商品では、その先発商品との差別化ができない上に、
既に高い知名度を獲得した先発商品と同じ土俵で戦うことになります。

 当然、先発商品より安く売らなければ、その市場に割り込めませんから、
利益を確保できません。

 最後は、価格競争に敗れ、大赤字で撤退せざるを得なくなり、こんなこと
ならやるんじゃなかったと言うことになり易いのです。



 それでは、どんなやり方で新商品を開発したらよいか?

 先ず始めに、先発商品をジックリ「観て」下さい。

 「観れば」先発商品の本質、長所、短所・・・など諸々のことが「観え」
てきます。

 次に、先発商品の「目的を徹底的に追求・展開」してください。

 「目的を徹底的に追求・展開」すると先発商品の基本的な特徴が観えて
きますから、その基本的な特徴を少しだけ移動してください。

 先の圧力鍋で言えば、圧力鍋の目的は、「短時間で調理する」でしたが、
減圧調理鍋の目的は、「短時間に味を浸透させる」でした。

 この「調理する」と「味を浸透させる」と言う目的の違いが、「目的を
実現する手段」の違いを生み、発明につながったのです。


 もし私が、目的を「短時間で調理する」に拘っていたら、減圧調理鍋を
発明できなかったことでしょう。



 繰返します。
 先ず第一に「観る」ことから始めてください。

 次に「目的を追求・展開」してください。

 そして「追求・展開した目的」を「少し移動」してください。

 最後は「移動した目的を実現する新手段を組立てて」下さい。

 ほとんどの場合、これだけで特許商品を開発できます。



 以上、あなたも次の出願のときにご利用くださいね。

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■■■ ポイント ■■■

● ヒントは、町中にあふれている。   他人の話に細心の注意を!
● 非まじめ発創により 「観る」⇒「観る」 目的追求・展開」
  「目的実現手段の新しい組合わせ」 の3つを徹底すれば、
  特許商品が楽々開発できる。
● 実施例は2つ以上書け。
  その2つの実施例は、異質な実施例がよい。
  しかし、考え方の基本が異なる実施例は、別出願で!

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★  あとがき  ★
  いよいよ10月下旬。今年も残り2ヶ月チョッと。
  晴れ渡った青空の下、散歩するには最高ですね。
  紅葉狩りなんか如何ですか。
  散歩や紅葉狩りの後、サワヤカな気分で非まじめ発創に取組むと
     素晴しいアイデアが飛び出します。
  まじめだけでなく、非まじめに本質を観ましょう!

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  ご意見、ご感想を、お送りいただけると嬉しいです。
 待ってま〜す・・・!
  意見・感想・質問等  →  himajime@apost.plala.or.jp
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<免責事項>
ご自分の責任の範囲でご利用ください。記載内容を利用し生じた
結果について、当方では責任がとれませんのでご了承ください。
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いただいた方、【レポート】を請求していただいた方、
あるいは、私に直接連絡いただいた方にお送りさせて
いただいております。
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発行元:原点発創研究所: 非まじめ発創塾
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  グーグルは、『特許 模倣』で、
  ヤフーでは、『特許 商品 模倣』で検索すると、
  『あなたの特許 勝手に模倣させません! 〜〜〜』が、
               上位に表示されます。
発行責任者:坂井 徳栄  himajime@apost.plala.or.jp
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