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こんな一言が、命取り! モノマネを招く請求項?
2006.9.26. bP6 非まじめ発創塾 坂井 徳栄
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非まじめ塾の坂井です。
前回まで、特許進化論と題して、自転車、メガネ、ハエ叩きについて
シリーズで5回書きましたが、如何でしたか。
是非、あなたの評価を教えてください。
この5回のシリーズで、どうやったら特許が取れるか? について、
ご理解いただけたものと思います。
今日は、耳掻きについて書いてみます。
この題材の耳掻きは、出願済みの特許公開公報をヒントにして私が勝手に
つくり上げたものですから、実際に出願されたものではありません。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 両端に開口を有する中空のパイプ状の柄と、
この柄の先端に取付けたスプーン状の耳掻き部と、
この柄の後端部に取付けられ、両端に互いに逆に開閉する逆支弁が取付け
られた伸縮自在な中空の球体と、
を有し、
前記球体を握ると、柄に取り付けられた側の逆支弁が閉ざされて他端側の
逆支弁が開き、球体内の空気が放出され、この握った球体を放すと、他端側の
逆支弁が閉じて柄に取りつけられた側の逆支弁が開き、外耳道内の空気を球体
内に吸入することを特徴とする耳掻き。
分りやすく書いたつもりなんですが、特許の明細書を読みなれない方には、
これでも難しいと思いますので、簡単に説明します。
この耳掻きの目的は、耳掻き部により外耳道の壁面から掻き落とされた
耳垢を中空の球体を握ったり放したりすることで中空のパイプでできた柄の
中を通して耳の外に出すことのできる耳掻きの提供です。
この耳掻きの構造は、以下のとおりです。
1. 耳掻きの握る部分である柄が、中空(チュウブ状)のパイプででき
ている。
2. この柄の先端には、スプーン状の耳掻き部が取り付けられている。
3. 柄の後端には、中が空っぽの球体が取り付けられ、この球体の両端
には、一方が開くと他方がしまる逆支弁が取り付けられている。
内科医が、血圧を測るときに使う血圧計の球のようなものです。
4. 『を有し、』以下は説明するまでもないと思います。
普通このような作用・使い方は、書きませんが、分りやすくする
ために書きました。
以上のような構造の耳掻きです。
さて、このような構造の請求項の特許権があったとしましょう。
もちろん、実施例はただ1つです。
この特許権に触れない商品を開発するように社命が下ったとしたら、
あなたはどんな耳掻きを考えますか?
先ず、最初にやらなければならないことは、アラを探しです。
自分で書いた請求項を自分でアラ探し、これじゃ『やらせ』ですね。
マスコミに叩かれるかも・・・???
【請求項1】の『両端に〜〜〜、を有し』をアラ探しします。
「両端に開口を有する中空のパイプ状の柄と」
ここでは、「パイプ状の柄」を「管状に柄」としたほうが良さそうですが、
問題になるような言葉はなさそうです。
「この柄の先端に取付けたスプーン状の耳掻き部と」
「スプーン状の耳掻き部」、これは問題ありですね。
「スプーン状」とは、どんな形だと思いますか?
「スプーン」は、中央にくぼみがありますが、お手元の耳掻きを良く見て
ください。
くぼんでいますか?
湾曲していますが、くぼんではいないでしょう。
もしこのままの請求項で特許権が取れたとして、模倣者が耳掻き部を
「湾曲」させたものを販売したとき止めさせられるでしょうか?
実施例が、たった1つの出願の場合、裁判になると、大変危険なんですね。
「それジャ〜どう書くんだ」と思われるでしょう。
先ず、実施例に「前後に湾曲したヘラ状の耳掻き部」と、「釘の頭部状の
耳掻き部」を書き(他の形状も書けば、もっと良い)、「スプーン状の耳掻き
部」ではなく、単に「耳掻き部」としたほうが良いでしょう。
これで「耳掻き部」の形状は、限定されず、どんな形状の「耳掻き部」で
あっても権利主張したことになります。
次は、「この柄の後端部に取付けられ、両端に互いに逆に開閉する逆支弁が
取り付けられた伸縮自在な中空の球体と」
この表現、あまり上手な表現ではないのですが、「伸縮自在な中空の球体」
に限定したものです。
このように、たった一言、「スプーン状」と書くだけで、特許権がここまで
限定されかねません。
しかしながら、試作品や図面に「前後に湾曲したヘラ状の耳掻き部」のみを
書いて、弁理士が「耳掻き部」と書いてくれたとしても、もし裁判になると、
「前後に湾曲したヘラ状の耳掻き部」に限定される危険があるということす。
と言うことは、弁理士に特許出願を頼む前に、
「前後に湾曲したヘラ状の耳掻き部」を持つ耳掻きと
「同じ目的と効果」が得られる他の方法がないか?
について事前によく検討することです。
一つのアイデアが出たからと言って、そのアイデアのみにとらわれては
ならないのです。
そのアイデアと「同じ目的と効果」が得られる他の方法を
十分に、イヤ、十二分に検討してください。
そして、出てきた他の多数の方法の中で
1. 絶対マネられては困るアイデア
2. マネられたくないアイデア
3. マネられても良いアイデア
のように数段階に分けた上で、
1. 絶対マネられては困るアイデアは、必ず弁理士に伝えてください。
できることなら 2. マネられたくないアイデア も伝えてください。
例えば、さっきの例の場合、「前後に湾曲したヘラ状の耳掻き部」と、
「釘の頭部状の耳掻き部」の両方の実施例を弁理士に伝えれば、弁理士は、
「耳掻き部」と書いてくれるでしょう。
ただし、弁理士から「これは、2本で出願しましょう」と言われても、
したがってはなりません。
この例では、1本の特許出願で出せる内容なんですから。
1本で出せば、例え割増料金がかかっても、2本出すよりも安い上に
広くて強い権利が取れやすいんです。
ただし、欲張りすぎると拒絶されやすいから弁理士とよく相談して下さい。
そして、くれぐれも特許調査を怠らないように願います。
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■■■ ポイント ■■■
● 弁理士に特許出願を頼む前に、自分のアイデアのアラ探しをしよう。
● 弁理士に特許出願を頼む前に、
そのアイデアと同じ目的で、同じ効果が得られる他の方法を考えよう。
● 同じ目的で、同じ効果が得られる多数のアイデアを数段階に分け
最初のアイデアと共に、絶対マネられては困るアイデアも、
必ず、弁理士に伝えよう!
できれば、マネられたくないアイデアも伝えよう。
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待ってま〜す・・・!
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いただいております。
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