特許 進化論 ・・・ 特許も技術も進化する(1)

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  特許 進化論 ・・・ 特許も技術も進化する(1)
  2006.8.02. bP1   まじめ発創塾 坂井 徳栄
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 今日の「非まじめ・メールマガジン」は、凄い題名です。
 こんな題名で、「非まじ・メルマガ」まとまるのかなぁ〜?
 あなたにあきれ返られないように頑張りま〜す・・・!

 特許 進化論 ・・・ 特許も技術も進化する(1)





 ダーウイン(1809〜1882)は、『種の起原(1859)』で、
  『キリスト教では「神がすべての生物を作られ、その姿は
  不変である。」というのが真実』を引っくり返したんですね。
  (余談ですが、世界一の文明国家と言われるアメリカの一部では、
   学校の教科書にも乗せていない州があるんだそうです。
    ・・・自由の国と言うことなのでしょうか???・・・)


 この「種の起源」は、キリスト教の成立以来最大の知的大革命なんです。

 学校の教科書では、生物の進化の過程は一本の木で書いています。
 幹は原始的な生命体で、次々と枝分れして哺乳類から類人猿へ、
 類人猿から人類へと進化してきました。

 ダーウインの考え方では、他の生物より環境によりうまく適合する
個体がうまく生き残り、こうした小さな違いがいく世代にもわたって
繰り返されるうちに祖先がもっていたものを捨て、
祖先と違う新しい種が誕生する「自然選択」と言う考え方です。

 このダーウインの「環境にもっとも適応したものが生き残る」
という思想は、適者生存ではなく、弱肉強食の世界のようですね。



 ところで、経済界の中の一制度に過ぎない特許制度も言ってみれば
弱肉強食の世界なんです。
 経済界の中で、より適合した特許権が、特許法によって保護され、
勝ったほうが生き残るんです。
即ち、特許法に合うとは、1)新規性(従来にない新しさ)、
2)進歩性(従来より進んでいる)、3)有用性(産業の役に立つ)
の3つが必要なんです。





 この1)新規性、2)進歩性、3)有用性を
           自転車の歴史で追ってみましょうか。

 この非まじめメルマガは、自転車博物館
 http://www.h4.dion.ne.jp/~bikemuse/knowledge/index.html
のホームページ「自転車まめ知識」の記事を中心にまとめました。



 ドイツのドライス男爵が1818年に発明した自転車は、2つの
車輪を前後に直線に並べ、またがって乗るものでした。

 ハンドルは、今のようなT型ではなく、1本の棒でした。人は、
この「ドライジーネ」と呼ばれる自転車は、木製でまたがって乗り、
地面を足でけって走りました。

 これを今の日本の特許法に規定で見てみましょう。

 1) 新規性:今までなかったものですから当然新規性は、合格。

 2) 進歩性:腰掛けたまま歩けるという点で進歩していますね。
   これも合格でしょう。
   今のようなベアリングがなかった時代ですから歩くより
早かったのでしょうか?

 3) 有用性:金持ちの遊び道具として使われていたそうですから
   それなりの価値があるわけで、この点も合格。

 と言ったわけで、1)新規性、2)進歩性、3)有用性、いづれも合格
ですから特許権の対象と考えてよいでしょう。



 44年後の1862年、「ドライジーネ」の自転車の改良版が発明
されました。フランス人のミショー親子が開発したもので、前輪を大
きくし腰掛けて乗れるようにしたものです。

 しかも、前輪にペダルが取り付けられました。前輪が大きいので
スピードが出るということで「ベロシペード(速い足)」と呼ばれま
した。これは初めて大量生産され、輸出もされた自転車です。

 前輪が大きくスピードも出るし、ペダルと言う新しい要素も加わり
ましたから特許法で言う 1)新規性、2)進歩性、3)有用性、の
いづれも合格です。





 速さを求めて1870〜90年には、前輪が益々大きくなり、
後輪はグ〜と小さくました。
 前輪が大きくなるほどペダルを1回転する間に進む距離が長く
なりますからスピードが出ます。
 人は、何時の時代でもスピードを求めているようですね。

 しかし、サドルは、前輪の上にありますから転倒すると危険です。
 この自転車は「オーディナリー(普通車)」と呼ばれました。

 特許的には如何でしょうか?
「ベロシペード」と比べ、前輪を大きくすることでスピードが出る
ようになったという効果:2)進歩性がありますが、1)の新規性は
物足りませんが、権利は取れるでしょう。






 そんな中で、1879年、「オーディナリー」の「乗り降りの難し
さと危険性」を改善した「セーフティ(安全型)自転車」とも呼ばれ
た「ローバー号」が、イギリス人スターレーが発明しました。

 チェーン付き自転車です。
 このチェーン付自転車は、前後輪の間にペダルを、ペダルに大ギア
を、後輪に小ギアを夫々取り付け、大小のギアに環状のチェーンを取
り付けたものでした。

 したがってペダルを1回転させると大小ギアの比率に反比例して小
ギアが回る構造ですから、前後輪が同じ大きさでもスピードが出る
わけです。





 そして1885年、イギリス人スターレーが作った「セーフティ(安全型)
自転車:ローバー(放浪者の意)」は、前後輪が同じ大きさで、
乗り降りもラクになり、誰もが安心して乗れる自転車の原型となる
自転車が登場することになりました。
今の自転車との違いは、タイヤが空気入れでないことだけです。

 特許的に見ると、チェーンは、新しい技術の登場で画期的ですね。
 これだけでも1)新規性、2)進歩性、3)有用性のいづれも合格
です。細かな説明は無用でしょう。





 しかし、100年以上前の道路は、石畳があっても今のような平坦な
舗装道路はなかったでしょうから、自転車に乗ると、尻が痛くなるどころ
ではなく、背骨にもろに響いたことでしょう。
まさに、骨まで愛された・・・???

 そこに登場したのが、1888年のダンロップの「空気入りタイヤ」
の発明です。「空気入りタイヤ」は、自動車だけでなく自転車にとっても
大変有り難い発明だったわけです。
(そのダンロップ社も、技術革新に敗れ、今は住友工業の傘下入りです。)

 これも特許的に見るとまったく問題ないですね。
 今まで「空気入りタイヤ」なんて考えられなかったわけですから、
1)新規性、2)進歩性、3)有用性、何一つ不足するものはありません。



 以前の自転車は、下りの坂道などでは、自転車には前輪につけられた
「足置き」に脚を乗せていましたが、1896年フリーホイールが発明され、
ペダルを止めても車輪が回り続けるようになりました。

 今までの自転車は、車輪とペダルが一緒に回転していたので、車輪の
回転に合わせてペダルをこがないと、ペダルに足がはねられますから
「足置き」に足を乗せざるを得ませんでした。

 フリーホイルの発明でペダルに足を乗せたまま悠々と坂道を下れる
ようになったわけです。

 勿論、1)新規性、2)進歩性、3)有用性、どれをとっても問題
なく特許です。





 1910年代になると、チェーンとフリーホイールの改良によって、
初期の変速機が発明されました。
 この変速機の発明は、チェーンとフリーホイールの改良によって
始めて達成できたものでしょう。

 変速機の出現により同じ一台の自転車でも目的・用途に応じスピー
ドを変更できるようになりました。
当然、特許、問題なしですね。





 小走りに自転車の歴史を振り返ってみました。
 自転車に限ったことではないのですが、技術の進歩、特許の歴史は、
常に『後出しジャンケン』なんですね。

 従来の商品の欠点を探し、あるいは、気づかれていない欠点を探し出し、
これらの欠点を解決する、これが、技術の進歩、特許の歴史、すなわち
文化の進歩です。



先日のメルマガでご紹介した『ブルーオーシャン戦略』では、
『取り除く』と『減らす』がアイデア発想の重要な要素(特許では、
構成と言います)でした。

 例えば、椅子ですが、椅子は、脚部と、座部と、背もたれでできており、
世の中にこの3要素を持つ椅子しかないとします。
このような状態で背もたれのない椅子を考えても商品としてなら
販売ができますし、座部に新しくスプリングを入れてももちろん販売できます。

 しかしながら、特許としては、単に背もたれをなくしただけでは、
失格なんですよ。

 今までの椅子の座部にスプリングを入れたり、背もたれをなくした上で
スプリングを入れたら特許権が取れるのです。

 最初に断ったように、世の中に、脚部と、座部と、背もたれででき
た椅子しかなかったとしてですよ。
しかも、このスプリングが、機械や別途など他の業界で使われていても
良いんです。



 要するに、何かを増やすとか、付加えることによって新しい要素を
付け加えないと特許は取れないんですよ。

 でもね、単に増やしたり、付加えれば何でも特許になると言うわけでは
ありません。

 例えば、単純に1つの箱の中にラジオと、テープレコーダを入れた
だけでは単なる寄せ集めとして拒絶されちゃうんです。

 1つの箱の中にラジオと、テープレコーダを入れた上に、箱の外に
スイッチをつけ、ラジオと、テープレコーダと、スイッチをコードで結び、
スイッチの切換えでラジオを聞いたり、テープレコーダを再生できる
ようにしたから特許権が取れたんですからね。



 いづれにしても、技術も特許も『後出しジャンケン』ですから他人の
技術や特許のアラ探しをして解決すれば進歩したものになります。

 ダーウインの言う
 
「環境にもっとも適応した生き残れる」技術や特許を開発できるわけです。



 そのためには、当然「観る」「目的追求・展開」「目的実現手段の組直し」を
どこまで徹底できるかが、決め手なんです。


 ローテクだって、イヤ、ローテクだからこそ特許の種が山積みなんです。
 航空機だって、新幹線だって、コンピュータだって、ほとんどが
ローテクの寄せ集めで、ローテクなしでは成り立たないんです。
 そして、ほんの一部が、ハイテクなんです。

 ハイテクだけが持てはやされていますが、ローテクあってのハイテクです
からね。

 世の中、よく観ると、ローテクの最高技術は、ハイテクではつくれない物が
多いんです。

 新幹線の先頭車輌のあのカーブ、ハイテクではつくれずに,ロ−テクの親分
ハンマーで叩き出して作っているんですからね。





 かなり強引な屁理屈ですね。屁理屈にもなっていないかな・・・???
 ダーウィンの「種の起源」から入って、自転車の歴史、ブルーオーシャンを
経てローテクの話。



 大切なのは、特許も、技術も「後出しジャンケン」です。
 技術も特許も、後から出す方が、有利なわけですから、先ずは、
「観て」、「目的を追求・展開し」、「目的達成手段を組合せ」れば、
絶対勝てるんです。


 重要なのは、
 前のメルマガでご紹介したキャノンの知的財産部を見習って
     事前準備を徹底することです。

 マネられたら裁判で叩き潰せる広くて強い内容の特許権を取ること
が重要なんです。

 実施例が一つしかない特許の丸投げ出願は、絶対止めましょう。



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■■■ ポイント ■■■

● 特許も、技術も「後出しジャンケン」、後から出す方が有利だ!
● 先人の技術のアラ探しをすれば特許権がとれる!
● アラ探しは、『見て』『観えず』、先ず初めに『観る』ことだ!
● 『観た』ら『目的を追求・展開』し、
『目的実現手段を組み合せ』よ!
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発行責任者:坂井 徳栄  himajime@apost.plala.or.jp

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