特許基本用語
ここに書いた特許用語の意味は、中小企業の商品開発者に特許用語の意味を大つかみに理解していただくために書いたものです。より詳しく学びたい方は、専門書で学んでください。(2006.02.現在83語)
あ行
意見書;特許庁からだされた拒絶理由通知に反論するため、出願人が提出する書類です。普通は、拒絶理由通知の発送されてから60日以内に提出します。期日内に提出しないと、拒絶査定されます。
意匠:物品の形状,模様又は色彩などのデザインを保護する工業所有権のひとつです。
引例・引用例:通常特許庁の審査で拒絶理由等の理由として引用される従来の技術で、発明者が従来技術としてあげることもある。審査官は、主に過去の出願から引用するが、専門誌、参考書、ハンドブックなどの刊行物から引用する。
役務:商品は形のあるものですが、形のない輸送、金融、引越などのようなサービスを役務と言います。
親出願:特許制度の一つである分割出願の元になる出願で、1つの出願に2つ以上の発明が含まれているときに、これらの出願を別々の出願に独立させるための元の出願を言います。
か行
刊行物:特許公報類や本等の文書、或は図面などを言い、一般の人が入手可能な状態になっている書類です。社内秘などとして部外者が入手できない書類は含まれません。
願書:特許庁に特許、実用新案、意匠、商標などを出願するときに提出する書類で、特許の場合で言うと、発明の名称、発明者、出願人、提出書類などを書きます。
間接侵害:製造・販売しても特許権を直接侵害するものではないが、製造・販売したものを使用した結果、特許権を侵害する場合に侵害とみなされる行為です。よく例としてあげられるのが、ラジオやテレビです。ラジオやテレビに特許権があり、このラジオやテレビを組立てるためのみに使う部品を製造・販売すると間接侵害になりますが、この特許品以外即ちこの特許権のあるラジオやテレビ以外にも使える場合は、侵害になりません。
技術範囲:権利範囲とも言われ、特許請求の範囲に書かれた文章により定まる技術の範囲を言います。
技術評価書:特許庁がつくるもので、実用新案登録の権利の有効性を判断する調査書です。形式だけで登録され、新規性や進歩性の審査はされていません。したがって、無条件で権利行使を認めると、混乱が起きますから権利行使する前に他人の使用を排除する権利として価値があるか無いか、審査官が判断します。しかし、裁判官は、あくまでも判断の目安として技術評価書を評価するに過ぎず、例え技術評価が高くても、裁判で負けることもあるでしょう。
拒絶査定:特許庁の審査官による審査の結果、拒絶理由が見つかったときに下される最終判断です。出願前の準備が大きく影響します。
拒絶理由通知書:特許庁の審査の結果、拒絶する理由が見つかったことを通知する通知書です。これに対して出願人は意見書、補正書の提出ができます。
共同出願:1つの出願に複数の出願人がいる出願です。出願前に、お互いの持分を明確にした契約書の作成が重要です。大企業と中小企業が一緒になって出願した場合、ほとんどの場合、中小企業が不利です。
クレーム:特許請求の範囲或は請求項を英語で表現したもので、我々が一般に使っているクレームとは、意味が違います。
警告状・警告書:特許等の権利者が、その侵害していると思われる者に、その行為の中止を求める書面です。
権利範囲:発明を保護すべき範囲です。技術的範囲とも言い、特許請求の範囲に書かれた技術の範囲です。
工業所有権:特許権、実用新案権、意匠権、商標権などの総称でです。これらの権利の対象は、工業のみでなく、鉱業、農林業、漁業、商業を始め、近年はビジネス特許もありますから、本来、産業所有権とすべきものでした。明治時代の誤訳といっても良いでしょう。
考案:特許の場合は発明と言いますが、実用新案では考案といいます。発明同様、自然の法則を使った技術の創作ですが、発明ほど高度でなくてもよく、物品の形状,構造又は組合せの考案は、実用新案登録を受けられます。しかし、物品の形状,構造又は組合せに限定されており、化学、バイオ技術、ビジネス特許などは、対象外です。
公開公報:実体審査前すなわち審査官による審査を受ける前の日本国特許出願を公開する公報で、第三者の同一内容の出願を防止する目的があります。特許出願の場合は、公開後の模倣に補償金請求権があります。特許出願から1年6ケ月後に出願の内容が公開されます。
公告公報:審査後、特許査定がされた日本国特許出願を公告する公報です。(注:現在は公告公報は、特許登録後公告されている。)
更新料:特許権は、出願人が特許庁に登録年金を納付し、権利を維持するために決められた料金を納付し続けなければならず、この料金を言います。米国では、維持年金と呼ばれています。
公知:誰でも合法的に知ることができる状態になっていること言い、知れる状態になっていれば、知る人がいなくとも公知です。
国際出願:国際特許協力条約(PCT)を利用して、日本又は外国の条約加盟国に出願した発明で、外人が日本に出願したものも含まれます。
国内優先権出願:前の出願の不足部分や追加したいことを補うために、最初の出願にこれらのことを書き足して1年以内に出願し直す制度です。最初の出願から1年以内なら何回でもやり直せ、自由に出願内容を変更できます。補正の場合に禁止されている新規事項の追加禁止の規定が適用されません。
さ行
差止請求権:特許を権侵害する行為を中止させる権利です。
査定謄本:特許庁から出願人に通知する特許査定や拒絶査定の書面です。
実施例:出願明細書に書く、実施の可能性のある発明の具体的に状態です。1つの実施例だけではなく、複数の実施例を書きたいものです。
指定役務:商標登録出願時に形のない接客業や金融業などのサービスにつける商標で、1つ以上の役務を指定します。
指定商品:商標登録出願時に形のある冷蔵庫や机などの商品につける商標で、1つ以上の役務を指定します。
出願人:発明を活かすため出願した自然人または法人です。
上位概念:〔大辞林〕 二つの概念が包括・被包括の関係にある時、包括する方の概念。例えば、金、銀、銅の上位概念は、「非鉄金属」で、金、銀、銅に鉄を含めると、その上位概念は、「金属」といえます。さらに、「金属」に石炭や石油を加えれば、その上位概念は「鉱物」でしょう。また、板バネ、コイルバネ、皿バネなどの上位概念は、「バネ(スプリング)」であり、「バネ」とゴムやスポンジの上位概念は「弾性体」です。
商品区分:商標法では、商品を34区分に、役務(サービス)を11区分に分け、合計45区分に分け、さらに、それらの区分を類似商品(役務)群に分けています。原則的として、区分や類似商品(役務)群が違うと、同一又は類似商標でも商標権が得られます。出願時には、商標と区分を指定し、区分の中の商品(又は役務)を指定商品(又は役務)として記入します。
職務発明:会社の従業員が職務として完成した発明を「職務発明」と言います。本来、発明は、発明者のもので「特許を受ける権利」は、資金を負担した会社にはありません。特許法では、予め契約で、特許を受ける権利(或いは特許権)を従業員から会社へ承継させ、使用者には実施権を認め、従業員には見返りに会社から相当の対価を受ける権利を認めています。しかし、従業員が会社の業務と無関係の発明をした場合、「自由発明」とよび、「職務発明」と区別しています。
実用新案:日・独など数カ国で採用され、特許よりも進歩性の低いものが対象で、自然の法則を使った技術の創作ですが、物品の形状,構造又は組合せですが、物の形状,構造又は組合せに限定されており、化学、バイオ技術、ビジネス特許などは、対象外です。
自発補正:出願人の自発的補正を言い、特許庁の指示によらない補正です。
自明性:公知の先行技術と比較し、その分野の当業者(業界人)が知っていることを言い、自明でない場合は、特許出願の請求項に進歩性がなければならないとする考え方です。
出願公開:出願した特許は、出願から1年6ケ月後に出願の内容が公開されます。
出願審査請求:特許出願は、出願人が審査請求をしたものだけを審査する制度を出願審査請求制度と言い、出願審査請求は、出願から3年以内であれば、いつでも請求できます。
出願日:願書が正式書類として特許庁に届いた日或は郵送した日です。
侵害:特許権者に無断で特許権のある国で特許権を製造、使用、または販売することです。
新規事項:補正する時、元の明細書に書いてない新しく加わえた技術的内容を言い、拒絶の理由になります。
新規性:特許(発明)・実用新案(考案)が出願される以前に世界中のどこかで、公に知られ(公知)たり、公けに使用或は実施され(公用)たり、出願前に日本国内または外国で一般に提供された刊行物(有償・無償)に書かれたもの(世界公知)でないことを言います。従って、新聞に発表したり、誰でも入場できる展示会に出品したり、カタログやチラシに書かれたものは、出願しても権利になりません。モット簡単な言い方をすると、今まで、世の中になかったモノ・コトで、新聞や本やインターネットなどで公開されていないモノ・コトの知識です。
審査官:特許庁の職員で、出願された特許に特許性があるかないかを判断する任務の係官です。
進歩性:発明の技術分野の人(当業者)が、既に知っている(公知、公用、刊行物に記載)技術的内容から容易に発明(考案)できない、即ち、先行技術から、容易に思いつくことができない技術内容であること。もっと簡単な言い方をすると、今まで、世の中になかったモノ・コトより効果のあるモノ・コトです。実用新案では、「きわめて容易」でなければよいのですが、実用新案と特許の進歩性の判断にはほとんど差がありません。
請求項、請求の範囲:出願人が定義するもので、独占したい発明の内容を文章で表現したものです。権利化されると、請求項に書かれた内容が実際の独占権の範囲となる。
設定登録:特許料納入の後、特許査定された特許を登録原簿に記載されることを言い、登録原簿に記載されると特許権が発生します。
先願主義:最初に発明を出願した人が特許を受ける権利を得る主義で、世界の標準的な法則ですが、米国は先に発明した人が権利を得る先発明主義です。日本は、出願した日を基準です。同一出願日に複数の出願人がある場合、これらの出願人の話合いで権利者が決まりますが、話合いがつかないとその権利は無効になります。出願日ではなく、出願時刻で権利者を決める国もあります。
先使用権:他人が出願した特許の出願日より前にその発明の実施又は実施の準備をしている場合に通常実施権があり、そのまま実施し続けられますが、発明の内容をその特許権と無関係でなければなりません。
先発明主義:出願が後であっても最初に発明した出願人が特許権を得ることです。米国は、米国人を対象とする先発明主義の国で、外国人は先願主義であり不平等ですが、先願主義に移行する動きがあります。
先行技術:特許や実用新案が出願される以前に公開・公知になっている技術を言います。
早期審査:他者よりも優先して行う審査で、手続きが必要です。
損害賠償請求権:権利者が、侵害行為により受けた損害を侵害者に請求できる権利です。
た行
直接侵害:請求項に書かれた技術的内容をそのまま、或は、構成要素の一部を置き換えたり変更して同一目的、同一作用、同一効果が得られるようにして実施する侵害です。
図面:発明の実施例を説明するため願書に添付して提出される図で、化学分野の出願では、化学式が含まれます。
抵触:特許権に触れることを言います。
手続き補正書:一定の条件下で提出した書類の修正を求める書類です。
電子出願:パソコンを利用して行う出願です。
特許:特許査定された権利を定義した書類ですが、一般的には特許公報類全てを意味することが多い。
特許査定・登録査定:審査の結果、拒絶理由が見つからない場合、拒絶理由がすべて解消した場合、審査官は特許査定し、実用新案登録出願(法改正前のもの)、意匠出願、商標出願では登録査定がされる。出願人が、登録手続をとると特許権等の権利が発生します。
特許出願:出願人が発明を文書化して特許庁に提出することです。特許出願に必要な書類として願書、1つ以上の請求項を書いた特許請求の範囲、明細書、必要に応じ図面、要約書および出願料等があります。
特許性:新規性、進歩性、効果、有用性等、特許権を受けるために必要な法律で定めた要件を満たした発明を言います。
特許満了日:特許期間が終わり、保護されなくなる日(無効、取下げ:参照)です。今は、出願日から20年。
取り消し:新規性、進歩性、効果のうちの1つ以上がないと言う理由で特許権がなくなることです。特許査定されたり特許登録された後に取り消されることもあります。
な行
は行
発見:万有引力の法則やペニシリンの発見など、以前から存在していたが知られていなかった事実を新たに見つけたことで、これは新しいものの創作ではなく、特許法や実用新案法の保護対象になりません。例えば、ペニシリンは1929年にフレミングによって発見されたが、医薬品として即ち産業上利用できるように実用化されたのが1940年です。これで特許権の対象になるのです。
発明:自然の法則を利用した新技術で、今まで世の中に存在せず、産業に役立つモノ・コト、或はそれを製造する方法などの創作を言い、発明を完成すると「特許を受ける権利」が発生しますが、未完成の内は発生しません。また、「発見」と異なります。
自然法則を利用していないため特許法上の発明と認められないものとして、 1. 永久機関 2. ゲームのルール 3. 暗号の作成方法 などがあります。
ゲーム機、暗号の作成装置、治療器具、治療薬、は特許になりますが、人間の病気の治療・診断・予防方法は、産業上の利用できないとして特許になりません。また、産業上利用できると言う意味は、同じ物を50個以上つくれることとされています。
パテントファミリー:1つの発明を基礎に優先主張して出願された全ての関連特許出願のグループで、異なる国や地域での権利を主張するものです。
フロントページ:特許公報の最初の頁をさし、普通、書誌的事項,要約,代表図が記載されています。
分割出願:1つの出願が2つ以上の発明を含んでいる場合、この特許出願の一部を新特許として出願とすることで、元の出願を「親出願」と言い、分割した出願を「子出願」とも言う。分割出願の明細書は親出願と同じであるが、請求の範囲が違う。
放棄:特許を受ける権利を放棄することで、審査請求しないと、特許権を放棄したとみなされる。
方式審査:特許庁で行われる最初の審査で、出願書類が適切か否かについて事務的で形式的に不備をチェックする審査です。
補正書:出願書類等の内容を補充・訂正する書面で、特許出願の補正は、明細書と請求の範囲の補正が最も重要ですが、出願時に書いた範囲内でのみ補正ができます。商標登録出願では、商標の補正は原則として認められません。
補正命令:補正すべき点を示した特許庁からの指示で、従わないと無効になるものもあります。
ま行
無効:特許制度の下では、年金(維持年金)を納付しないと特許権がなくなります。
無効審判:他人の特許権を特許すべきでないとして起す審判で、特許権侵害の警告を受けたり、その特許権を無効になると有利な立場に立てるものから起されることが多いです。
明細書:特許出願時に提出する書類の一部です。特許出願に必要な書類として願書、1つ以上の請求項を書いた特許請求の範囲、明細書、図面(必要に応じ)、要約書および出願料等があります。
明細書の項分け記載:明細書の内容は、一定の項目に分けて記載するように規定されています。特許庁が指示する項目は、下記の通りです。
・【技術分野】 ・【背景技術】 ・【発明の開示】 ・【発明が解決しようとする課題】
・【課題を解決するための手段】 ・【発明の効果】 ・【発明を実施するための最良の形態】 ・【実施例】 ・【産業上の利用可能性】 ・【図面の簡単な説明】
や行
優先権主張:パリ条約で定められた制度で、外国出願や国内優先出願をすると最初に出願した出願日に出願したものと認められます。それを出願日の遡及と言います。
優先権主張日:最初に特許出願した出願日で、優先権を主張して出願した2回目以降の出願の出願日ではありません。
有用性:実用性または商用目的への適合性を言います。例えば、殺人機や偽札製造機には、有用性がありません。
用途発明:ある物質の特定の性質を新発見した時、この性質を使った新しい使い方(用途)の発明を言います。例えば、農薬として売られている物質に殺虫効果があることを新しく発見した場合、その物質が農薬として知られていても、殺虫剤として特許が取れます。こうした発明を「用途発明」と言います。
要約書:発明の内容を簡単に書いた書面で、技術情報として使用し、権利内容には影響しません。
ら行
ライセンス、実施許諾:本来他人の特許権は、譲渡を受けないと実施できませんが、譲渡ではなく実施許諾を受けることにより他人の特許権を実施できます。実施許諾には、権利者も実施できず独占的に実施できる専用実施権と、複数者が実施できる通常実施権があります。
利用発明:先願の第三者の特許発明、登録実用新案、登録意匠などを利用する特許発明で、この利用発明を実施するには先願の権利者の許諾が必要です。
わ行
▲ このページのトップへ
▲ ホームのトップページ(特許侵害・模倣を防げない特許の落し穴)へ
