中小企業の社長さん
丸投げ 特許出願は 止めましょう!
『丸投げ出願では、特許権が取れても、
特許権や、商品を守れる保証はありませんよ!』
非まじめ発創塾 代表 坂井徳栄です。
私は、十数年来、二足のわらじで、中小企業の新商品開発支援活動をしながら、特許事務所の依頼で、明細書を書いてきました。
最初は、自分のアイデアの出願からはじめました。
もちろん、明細書は、自分で書きました。
そうこうする内に、人様から、
我社の商品開発を応援しろ! と言われ、
商品開発に協力するようになったのです。
そんな中で、ある特許事務所から、
うちの出願明細書の下書きもしろ、
ということになり、商品開発の支援と、明細書書きの
二足のわらじ生活が続くようになりました。
無料レポート『特許の落とし穴』編にも書いたとおり、
明細書、特に【請求項】の書き方次第で、特許権は強くもなり、
弱くもなります。
私は、二足のわらじ生活に入る20年も前から、
【請求項】の書き方次第で特許権が強くも弱くもなる
ことを知っていたわけですから、
どうやったら強い権利の取れる明細書になるかについて
必死に模索していました。
単純に
【請求項】を広く書いただけでは、強い特許権が得られない
ことも学びました。
また、単純に
【実施例】を多く書けばよいものでもありませんでした。
そして、出願前に【特許調査】をしないと、出願費用の何倍、
何十倍の大金をドブに捨てる結果になるのです。
ところで、 社長さん
『特許権が取れたが、権利も、商品も守れなかった』
と言う話を聞いたり、経験したことがないですか。
特許関係の仕事に携わる私としても、ホントに苦々しい思いで一杯す。
せめて、私のかかわった出願が、こんなことにならないようにと、苦心しています。
一般に、特許法に詳しくない中小・零細企業の出願人が、
特許出願するときは、試作品を作ったり、図面を書いて
特許事務所に出願を頼みます。
しかし、特許法に詳しくない中小・零細企業の出願人は、
弁理士に出願内容の説明を適切にできません。
弁理士は、試作品や図面に基づき、或は、説明した範囲内でしか明細書を書けませんが、気配りした質問もしてくれません。
ゴールド特許事務所のバットマン氏の告白メールにあるとおりです。 ← クリック
その結果、中小・零細企業の特許権は、穴だらけの特許権
しか取れず、しかも、権利範囲が狭くて弱い特許権です。
当然、こんな特許権ではモノマネ・模倣が続出しても止めさせる
ことができませんからマネ放題です。
いわゆる、特許権を逃れた合法的模倣商品(私の造語)が、次からへと発生し、やっとの思いで開発した特許商品も、
アッと言う間に寿命がつき、
利益のない価格競争へと突入していきます。
これでは、例え、中小・零細企業が特許権を取っても
その特許商品で会社が発展することは不可能だ
と言っても言い過ぎではないでしょう。
私は、中小・零細企業の社長さんから特許出願の相談を受けると、ムダな特許出願を避けるために、先ず第一に、
お客様が特許調査をしたかどうかを確認します。
次に、この出願の一番大事な要素を確認したうえで、
この一番大事な要素の『目的』をお客様と確認し、
この『目的を実現するために他に手段がないか』も
確認します。
何故、弁理士がやらないこんな時間のかかる、
わずらわしい作業を私がやるのでしょうか?
その理由は、これをやらないと、
穴だらけの特許権となり、
合法的に好き気勝手にマネられ・模倣される特許権しか
取れず、
特許出願した意味がなくなってしまうからなのです。
何故、私が、こんなやりかたをするようになったのか・・・
実は、30数年前のことです。
都下:田無市(現:西東京市)S工業(株)(以下:S社)の
О社長が開発し、特許出願した『窓用換気扇』の大手家電による
特許権模倣事件が、出発点です。
詳細は『特許の落とし穴』のページに書きましたが、O社長が
開発した『窓用換気扇』の構造は、1)上方に枠に嵌った換気扇が
あり、2)この換気扇の両側に伸び縮みできる2本の支柱が垂れ下がり、3)換気扇の下の2本の支柱の間には、ボードが取付けられていました。
この『窓用換気扇』は、発売すると最初から順調に売れ、大手家
電各社からも出荷要請(と言っても、サンプル出荷に過ぎなかった
のですが)が、続々と入りました。
これに気を良くしたO社長は、銀行借入で設備投資もし、生産
体制を整えました。
これで、大手家電と契約しても生産が間に合うと、大威張りして
いました。
ところが、その後、大手家電からはナシのツブテで、まったく
連絡がありません。
連絡がないだけなら、まだ良いのですが、大手家電各社から
一斉に『窓用換気扇』が発売になったのです。
大手家電各社から発売された『窓用換気扇』は、S社の『窓用
換気扇』から2)の『換気扇の両側に垂れ下がる伸び縮みできる
2本の支柱』をなくしたものです。
『2本の支柱』をなくしただけの模倣品です。
模倣した大手家電に掛け合っても取り合ってくれません。
出願した弁理士に相談しようと連絡しても、この弁理士さえ言を
左右して逃回るだけです。
大手家電の『窓用換気扇』は、デザインも良いし、販売力もあり
ますから、S社として歯が立ちません。
S社の売り上げは激減し、銀行借入の返済も始まり、一気に
資金繰りがつかなくなり、まもなく倒産です。
O社長は、幼稚園児と乳飲み子を抱えて夜逃げ同然の引越しで、私も仕事がなくなりました。
後で分ったことで、今もそうですが、
特許法では、【特許請求の範囲(言葉で表現した特許権を
主張する範囲)】に書かれた【構成(特許請求の範囲を成り立たせる要素)】の
一つでもなくしたものは、権利の侵害にならない
のです。
とすると、家電各社の『窓用換気扇』は、S社の『窓用換気扇』
の支柱をなくしているから権利侵害にならないのです。
また、明細書を書いた弁理士が言を左右して逃げる理由は、
特許を知らないO社長の説明が不十分なため、弁理士としても
説明された範囲でしか書けなかったと言うことなのです。
こんなわけで仕事を失った私でした。
紆余曲折があって数年後、私は思い切って方向転換して独立しましたが、バブルもはじけ、時代の流れに逆らえず、開業した事業も閉鎖することになりました。
年は、50歳、寸前。
一度独立して廃業し、50歳に手の届く人間が、
おいそれと再就職できるものではありません。
若くもなければ、金もない。ゴロゴロしていても腹が減る。
今で言うニートの先がけ、最先端です。
時間は、あり余っているのですが、凝り固まった私の頭には、
『発想の転換』の本を読んだくらいで、そう簡単に発想を転換できません。
こんな状態で目に留まったのは、『現場改善と、特許』です。
そんな中で、故:杉山友男先生の『こんなやり方もある現場改善
のすすめ方』と言う本です。
この本が、私の発想を大きく転換させる切っ掛けをくれました。
杉山先生の現場改善:『3ム メモ』は、『ムダ、ムラ、ムリの
3つのムをなくす』と言うもので、そのためには、
1) ナゼ? ナゼ? ナゼ? ナゼ? ナゼ?
を5回繰り返す
2) 『見ても、観えない』が、『観りゃぁ〜分かる』
これだけと、言ってもいいほどシンプルです。
間もなく森政弘先生の『非まじめの進め』に出会いました。
『非まじめ』は、「不まじめ」でも、「単なるまじめ」でもあり
ません。
『1円玉は、丸いと同時に四角』と言う感覚、「不まじめ」と
「まじめ」を合わせ持ち、『モノ・コトの本質に迫る』考えです。
この本で、『見る』と『観る』の違いを改めて学びました。
『3ム・メモで観る』を学び、
『非まじめで、見ると観るの違い』を学んだ私ですが、
『モノ・コトをどんなに観ても気づきません』。
頭で分かったと言う状態で、モノ・コトの本質が観えなければ、
発想を変えられないことに気づきました。
実は、これからが大変だったんです。
元々白かった頭に磨きがかかり、ほとんど真っ白になったんで
すから。
悪友に「白くなったねぇ」と言われると、「白くなったんじゃ
ない。白髪染めで、今はやりのメッシュに染めてるんだ」と、
強がっていますがね・・・!?!???
『3ム・メモ』で現場改善しているうちにこの『3ム・メモ』を
「新商品開発」に転用してみると、意外とすんなり開発できること
が分かりました。
従来の商品を見て、この商品は何をするためのものだろうか?
この部品は、何のためにあるんだろうか?
この部品が、ナゼここにあるのだろうか?
この部品の代りに、こっちの部品を使ったらどうなるだろうか?
この部品とこの部品を組合わせたらどうなるだろうか?
この商品のこの部分をこっちの商品に応用できないか?
現場改善の傍ら、商品開発担当者にこんな質問を片っ端から
ぶつけていったのです。
最初は、ウルサがっていた開発者ですが、私の質問が呼び水と
なって、次々と新商品が開発できものですから私の質問を歓迎するようになりました。
社長がこれを聞きつけ、本格的に商品開発の応援を頼まれるようになりました。
ナゼ、私の質問が商品開発の呼び水となるか? をいろいろ考えた結果、こんなことに気づきました。
1) 見る ⇒ 観る ・・・ 転換
2) 目的の追求と展開
3) 目的達成手段の再構築
この3つをやれば、新商品が開発できることに気づいたのです。
こんな簡単なことだけで、中小・零細企業でも、大企業に負けない新商品を開発できることが分かったのです。
ニート状態の私の目に留まった『現場改善と、特許』もう一方の
特許の勉強も続けていました。
特許庁の外郭団体である発明協会の講習会を始め、様々な講習会に参加して勉強を続けました。
当時学んだ、青本、赤本、黒本(特許法の基本参考書の表紙の
色からこう呼ばれています)も、今では懐かしい思い出です。
しかし、50歳近くなって記憶力も落ち、商品開発に意欲が向いた私には、弁理士試験を受けるほどの勉強はできませんでした。
それでも、特許法の基本だけは身に付け、
下手であっても特許の明細書が書けるようになりました。
自分で考えた自分のアイデア商品の明細書を書いて出願し、
ロイヤリティを頂いたものもあります。
お客さんから、お前も一緒に開発したのだから、
お前が明細書を書けと言われ、私の名前を発明者として書かずに特許出願したものがありました。
これが災いの元で、日本弁理士会から弁理士法違反の疑いをかけられる羽目になったのですが・・・!
縁あって都内の弁理士から明細書の原稿ができたら持ってこい、俺が代理人になって出してやると言われ、
その後は、こんなトラブルもなくなりましたが、これも苦しい思い出です。
この先生も、すでに鬼籍に入られました。
平成9年からは、日本橋の弁理士にお願いしています。
この弁理士は、私と同年輩で大変几帳面な上に、出願人の立場を考え、強い特許権のとれる明細書を書くように勤めておられます。
こうやって、特許法と特許実務を勉強するかたわら、実務経験豊富で発明協会の講師もやる方の勉強会に参加できるようになり、様々な情報が得られました。
この勉強会で、こんな話を良く聞きました。
1.弁理士は、説明を受けた範囲内でしか明細書を書かない
2.当然、説明を受けた実施例しか書かず、書き足す
ことはしない
3.拒絶理由通知が来ると、強い特許権をとることよりも、
成功報酬がもらえるようにガチガチでも権利化に勤める
とすると、最初に書いた「窓用換気扇」の結末は、当然あり得る
話ですね。
『特許の落とし穴』にも書きましたが、送り状事件や
マジックテープ事件だけでなく、特許裁判では、ほかにも悲惨な例が多数あります。
特に、特許の知識が少ない中小・零細企業の出願は、
ゴールド特許事務所のバットマン氏が言われるように
哀れな特許出願が多いようです。
社長さん 縁あって私のホームページを訪れたのですから
あなたの出願、『特許の落し穴』に嵌まらないで下さいね。
と言ったわけで、私は、中小企業に頑張ってもらいたいのです。
中小企業のための強い特許権の獲得と、新商品開発に協力し、
『特許権が取れたが、特許権も、特許商品も守れなかった』
なんてことがないように頑張っているのです。
ガンバレ 中小企業 !
攻め方一つで
特許で 大企業に 勝てる !
非まじめ発創塾 坂井徳栄
