管接続具は、古河電気工業(株)、未来工業(株)、松下電工(株)、東洋化工(株)を始めとする大企業が数十本の特許出願をしています。
中でも未来工業(株)が出願の大半を占め、販売実績でも同社が市場を制覇しているようです。
「管接続具」は、配線を壁やコンクリート内に埋めるための配管が、室内やコンクリートの表面に出たところに取付け、配線の方向を変えるために蛇腹管を差込んで使用するものです。
下の図は、4社の出願から1つづつピックアップしたものです。
先行例1
先行例2
先行例3
先行例4
先行例2(特開平7−231533)の【要約書】の【目的】には、
「誤って接続された管を容易に取り外すことができる管接続具を提供する」とあるように「管接続具」に蛇腹管を差込むだけで固定できる上に、蛇腹管が誤って差込まれたときに簡単に抜取れるようにしたものです。
後で提案例を使ってもっと細かく説明しますが、これらの「管接続具」は、キャップの中央の孔に蛇腹管を差込むと、「管接続具」内の小さな係止突起が蛇腹管の外周の溝にはまりこんで蛇腹管を抑えるため抜けなくなります。
この蛇腹管を抜くときは、キャップを少し回動するとかねじ込むと、小さな係止突起が蛇腹管の外周の溝から外れて抜けるようになっています。
このような状況の中でB社から相談を受けました。
相談の折には、未来工業(株)と古河電気工業(株)のサンプル持参で、特許公報も提示されました。
これに対し私たちは、例によってサンプルと特許公報を「ジックリと観、目的の追求」を始めたのです。
2週間後に第1次提案をしたのが、後で示す図です。
引続き第2次、第3次提案と1週間ごとに構造の違う提案を続けました。
しかし、B社には私たちが提案した図面さえ読むこともできない様子です。
図面を詳細に説明しましたが、それでも理解できない様子でした。
そして、最後に言われたことは、
「当社にこの図を設計することができない。不可能だ。」とのことです。
技術者もおらず、理解できないものを設計することは不可能ですね。
B社には、樹脂加工の十分な設計技術も、製造技術も無いと判断いたしました。
なぜそう判断したかと言いますと、従業員50名ほどの別の取引先にこの図面を見せたところ、10分ほど図面を見ていた社長さんは、
「中々難しい技術ではあるが、図面のこの部分は金型をこう処理し、この部分はこう処理するとできる」と即座にお答えになりました。
私の想像ですが、B社には、私共の提供した案を技術的に理解できなかったのでしょう。
従って、B社からは、このような技術的な話は、でたことがありません。
ところが、何処でどう聞いてきたのか、京都のK社から問合せがありましたが、K社もB社同様、図面を理解できない上に、単に情報を聞き出したいだけと言う姿勢がありありでした。
このK社は、私共が考えた「管接続具」の情報を引き出すようX社から依頼されたものと思われます。
と、申しますのは、その寸前に、興信所から聞き取り調査が入っていました。
信用調査というよりは、「私共の商品開発力」に対する聞き取り調査だけだったのです。
日本の企業は、このような調査に経費をかけますが、他人の開発した特許権を買い取ろうと言う姿勢は全く無いのも日本の企業の特徴です。
「管接続具」 第1次提案図いよいよ本題です。
次の「管接続具」の第1次案を見てください。
「管接続具」は、壁やコンクリート内に埋められた配線が、室内やコンクリートの表面に出たところで配線の向きを変えるために使用するものです。
図1
図2
図3
図4
図1を見てください。
上方に示されたのが蛇腹管です。
中央が「管接続具」で、この「管接続具」の下端にあるギザギザは、ネジ溝です。
このネジ溝を壁などに埋められた配線管に接続します。
図には示してありませんが、配線管の中には配線が入っています。
次は、図2を見てください。
「管接続具」は、下側の本体と、上側のキャップの2つの部材からなっていることが分かります。
図1と見比べると「管接続具」の上の方が少し持上げられています。
このように本体にキャップが上下動できるように取付けられているのです。
図が小さくて少し分かりづらいのですが、キャップの中央には、少し湾曲した突起が2本吊り下げられています。
この湾曲した突起は、3本以上の突起で、キャップの中心から放射状に並んでいるのです。
そしてこの湾曲した突起の下の部分に内側に向った小さな突起が設けられています。
後でもう1度説明しますが、この内側に向って設けられた突起が蛇腹管の外周の溝にはまり込んで蛇腹管を固定するのです。
この湾曲した突起は、図1と図3では垂直に吊り下がっていますが、図2では先端が少し内側に傾斜し、図4では逆に外側に傾斜しています。
この点が特許権として重要な意味を持つのです。
もう1度、図2を見てください。
キャップを少し持上げた状態でキャップの孔に上方から蛇腹管を差込みますと、蛇腹管の先端が、湾曲した突起の先端部の内側に向った小さな突起に当たります。
そして本体の中心部の上端には、湾曲した突起の先端内側の傾斜面と反対の傾斜面が設けてあります。
蛇腹管を更に押し込むと、この小さな突起が本体に向って押し下げられるに従ってキャップ全体が本体に接近します。
更に、蛇腹管を押し込むと、この湾曲した突起に最先端の内側は傾斜面になっていて、本体中央部の上端面の反対方向の傾斜面に沿って湾曲した突起の先端部が押し広げられ、内側に向う小さな突起が蛇腹管の先端部の太い部分を乗越えて蛇腹管の先端部の最初の溝にはまりこんで蛇腹管を固定します。
日本語の文章で物の形と動きを説明するのは至難の業です。
特許の明細書が皆さんに分かりづらい理由の一端は、この辺にあります。
ましてや私の表現力のなさが災いして一層あなたに分かりづらい文章になっています。
大変だとは思いますが、2度3度・・・5回10回と分かるまで読み返してください。
これでも明細書よりは分かりやすく書いている積りです。
ごめんなさい。
次に蛇腹管を外すときの説明を、図4を使って説明します。
他社のものは、このように「管接続具」に蛇腹管が固定された状態でキャップをねじったり回動することにより「小さな係止突起が蛇腹管の外周の溝から外れて抜けるようになっていました。」
しかし私共のものは、蛇腹管が「管接続具」に固定された状態でキャップを本体方向に押し付けますと、湾曲した突起に最先端の内側は傾斜面が本体中央部の上端面の反対方向の傾斜面に沿って押し下げられ、湾曲した突起の先端部が押し広げられます。
このようにキャップを本体に押し付けた状態で蛇腹管を引抜くと、蛇腹管は簡単に引抜けます。
以上が、「管接続具」の説明です。
この様に、例え大手企業がひしめく業界の商品であっても、「非まじめ発創法」で「観て」、「目的を追求し」、「手段を組合せ」れば、特許商品を開発できます。
問題は、何を観るかと、販売力です。
零細企業が、例え画期的な洗濯機を開発した所で、松下電器に対抗できるでしょうか・・・?
残念ながら、ほぼ不可能だと言えるでしょう。
蟹は、甲羅に合わせて穴を掘る、と言います。
隣の芝生は、青く見えるとも言います。
中小・零細企業は、自社の得手な業界で、得手な商品を開発しましょう。
ローテクでもいいのです。
ローテクには、ローテクのよさがあります。
ローテク商品には、無限の可能性が秘められています。
チョット「視点を変え」、「観方を変え」れば、特許商品は、何ぼでも開発できます。
そのためには、
「非まじめ発創法」を身につけてください。
それほど難しい発想法では有りませんから。
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