事例2 調理鍋のハンドル

 次の事例は、調理鍋にワンタッチで取り付けるハンドルです。



 これは、世界的に有名なフランスのクリステル社の特許権を始め数十件の特許出願をクリアーした例です。

 図を入れましたが、以下の説明も分かりづらと思います。

 私の表現力の至らなさです。 ごめんなさいね。



 次の図1は、クリステル社の鍋用着・ハンドルで、鍋の外周の取付部にワンタッチで取付けたり取外したり出来ます。
  図1  クリステル把手1.gif

 このハンドルには、上下に分れるハンドル本体を合せた時、片側に鍋の取付部を差込む穴が開けられ、この取付部差込穴の奥には上下に貫通する貫通孔が開けられています。

 取付部差込穴の両側は、ほぼ平行で、この穴内には、差込まれた取付部にハンドルを固定するロック/ロック解除装置が取付けられています。

 このロック/ロック解除装置は、シーソのように支・に支えられ回動します。

 このロック/ロック解除装置の片側の上とハンドル本体の間には、コイルバネが取付けられ、ロック/ロック解除装置の片側がコイルバネにより常時下側に押し付けられています。



 又、ロック/ロック解除装置の反対側は、貫通孔内に飛び出していて、指で押せるようになっています。

 このロック/ロック解除装置の反対側を指で押すと、取付部差込穴内のロック/ロック解除装置の片側とハンドル本体の下側の間が開き、鍋の取付部が差込めます。

 ロック/ロック解除装置を押している指を離すと、ロック/ロック解除装置が解除され、鍋とハンドルが固定されます。

 ハンドルを取外すときは、貫通孔に指を差込み、ロック/ロック解除装置の反対端をもう一度押すとハンドルが引抜けます。



 以上が、クリステル社の鍋用着・ハンドルの概略です。





 目的追求



 鍋用着・ハンドルそのものの目的は何でしょうか?

 1) 片手ハンドルの場合、長いハンドルが収納時に邪魔になる。

 2) 熱くなったハンドルでは握れないし、長いハンドルを取付けたままでは、ハンドルに引っかかって鍋を引っくり返す危険がある。

 3) 固定式のハンドルの場合

  a) 強火にかけるとハンドルまで熱くなって持てなくなるから、ハンドルを取外しておきたい。

  b) ハンドルを外した熱い鍋は持てないから、ワンタッチでハンドルを取付けたい。



 4) そこで登場するのがクリステル社の着・ハンドルですが、同社は、世界的に有名な会社で、日仏で特許権を持ち、真似ると大変です。



 もう一度、今追求した目的を振返ってみましょう。

 何か目的の設定に漏れはないでしょうか?



 見ているだけでは、気づきません。

 実物ナシで、図を見ただけでは、少し分りつらいでしょうが、少し頑張ってください。



 空鍋にハンドルを取付けたり外したり、水や素材を入れた重い鍋にハンドルを取付けたり外したり、冷たい鍋や熱い鍋といろいろやってみて下さい。

 何に気づきましたか?



 このハンドルは、鍋と密着していないためガタツクき、不安定です。

 部分目的を観、全体目的を観、つけたり外したり、いろいろやって始めて観つかるのです。



 5) ワンタッチで着・でき、取付けたときガタツカず、密着して安定する着・ハンドル。このような目的で開発したのがA社様に提供したハンドルです。



 ここで少し触れておきます。

 例えば、コイルバネの目的は何か?

 「コイルバネは、ロック/ロック解除装置の片側を常時下側に押し付けるもの」ですから「板バネやゴム」でも良いのです。

 しかし、このやり方だと根本的解決にならないことが多いです。

 小手先の特許逃れはできても「ユニークな商品」の開発は、難しいでしょう。






 私たちが開発した「鍋用ハンドル」図を見て下さい。

   図2  片手鍋把手正面.gif
   図3  片手鍋把手横断面.gif

   図4  片手把手縦断.gif

 図2は、鍋にハンドルを取り付けたところに正面から見た図です。

 図3は、この図2のハンドルを横方向にに切断した断面図です。

 図4は、図2、図3とは異なる構造のハンドルで、縦方向にに切断した断面図です。



 如何ですか? クリステル社のハンドルと何処が違うでしょうか?

 構造的にかなり違いますね。

 バネの使い方は、押付ける方向が違うだけで大きな違いではありませんが、ロック/ロック解除装置と中央のシャフトの動き方がまるで違います。

 クリステル社のハンドルは支軸を中心に反転するロック/ロック解除装置の先端部で鍋の取付け部を抑えます。

 私共のハンドルは、シャフトを前後動させ、シャフトの傾斜面により球やロールを鍋のフランジの孔や溝に押付けて固定します。

 この発明は、シャフトの傾斜面が押付けた球やロールの丸い面がフランジの孔や溝の縁を押付けているのでガタツクこともなくキッチリと取付けられるのです。



 このように両者は、目的も効果も似ていますが、取り付けたハンドルが、『ガタつかない』と言う点で少し違います。

 そして、同じようにスプリングを使っていますが、発想の次元が違い、発明の基本思想が違うのです。

 特許は発明の構成部品にではなく、発明の思想に与えられますから権利化は、ほぼ間違いないでしょう。

 
 

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