事例 1
揺れ防止機能付支柱棚
あるとき、こんな相談を零細企業のS社から受けました。
下の図1を見てください。
どこにでもある4本の支柱を使った棚です。
この棚は、棚幅を伸ばしたり短くしたりできます。
図1 
図2
(X状に交差した部分の拡大図)
このままでは、棚がユラユラ揺れて目的を達成できませんので、後ろ側に2本の棒をX状に交叉させ、2本の棒の交叉点に長孔を開け、この長孔にボルト通してナットで止めた固定部材が取付けてありました。
しかし、まだ揺れを完全に止めることができません。
この棚を改善して特許権を取りたいのだが、どうやったらよいでしょうか?
このままでは、特許をとるには程遠い代物です。
特許調査をするまでもありません。
しかしながら、社長さんのたっての相談です。
無視するわけに参りません。
止むなく特許調査を始めました。
特許調査は、『X状に交叉させた2本の筋違いいをどのように止めているか?』です。
幸い、調査の結果出てきたのは、長孔にボルトを通してナットで閉めるものしか見つかりません。
まさに、図1そのものです。
ここからが勝負です。
『特許の本質』をご理解されているあなた様ならどう攻めますか・・・?
図1、図2と『違う考え方でX状の筋交を確実に固定』できれば特許が取れるのです。
下の図3は、私が提案したうちの1例です。
上側の図1、図2を見て、先ず始めに考えたことは、X状固定部材の構造をジックリと観、固定部材の目的は何か? を考えました。
当然、固定部材の目的は、棚の揺れ防止です。
しかしながら、依頼者の開発商品は、4本の支柱を使った安い棚と言う限定があるから資材を丈夫にした高価な固定部材は使えません。
そこで「棚幅が伸び縮みする棚のX状固定部材の交叉点に設けた長孔に差し込んだボルトの目的」を再検討してみました。
目的の設定の仕方がポイントです。
「X状に交叉する長孔にボルトを差し込むことにより2本の棒の交叉角度を固定する」と言うボルトの目的がでてきました。
そこで「交叉する2本の長孔と、この長孔に差し込んだボルト」の理想像を追求しました。
私の描いた理想像は、「交叉点に長孔のある2本の棒のそれぞれを2本の棒に分割し、合計4本の棒をX状に交叉させ、この交叉点にそれぞれ長孔を設け、この4つの長孔に差込んだボルトが、X状に交叉した2組の内の直線状の1組の棒の両端を互いに反対方向に引張ったり押しつけてもボルトの位置が動かないように差込む」と言うものでした。
チョッと分かりづらい表現ですが、次の説明と、前ページのb図及び右の図をよ〜く観ていただければ分かります。
図3
前の図1bを拡した斜視図です。
長孔の両側にギザギザがついており、このギザギザの広い部分に差込める脚のついたコの字型のチップを設けました。
このチップの中央にはボルトを差込む孔が開いています。
このチップの脚を両側にギザギザのある長孔の広い部分に差込み、チップの穴に差込んだボルトをナットで止めると、棒の両端を反対方向から押しても引いてもボルトの位置は動きません。
これで4本の支柱を使った揺れない棚ができました。
この状態で特許調査をして先願が見つからなければ99.9%特許権が取れるでしょう。
この段階で経費をケチって特許調査をしないと、意外な落し穴が待っていることもあるので気をつけてください。
ボルトの位置が動かないように「長孔の両側にギザギザという従来からある技術を付け加え」ました。
これで『従来からる技術の新しい組合せ』という考え方がでてきましたから特許権も取れる可能性がでてきたのです。
如何ですか・・・?
難しいですか・・・?
当り前のことを、当り前にやっているだけですよね。
普通より少し執念深いだけでしょう。
「棚業界の現状」を知らない私でさえもここまでできるのですから
専門家であるあなた様には、もっと簡単に開発できるのではありませんか・・・?
先ずは、「観る」ことから始めてください。
この程度のことなら、あなた様なら
30日どころか、一両日で開発できるでしょう。
何はともあれ、「観る」ことから始めてください。
必ずできますから。
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